演歌歌手・市川由紀乃(42)が31日、東京・浅草公会堂でリサイタルを行った。

 デビューから25年を迎えた市川は「25年の歌手人生を振り返りつつ、新たなスタートラインにもしたい」と語った。

 ステージでは1月に発売し10万枚を突破するヒット曲となったシングル「うたかたの女」や、この日発売されたアルバム「唄女ⅠⅠⅠ~昭和歌謡コレクション&阿久悠作品集」に収録されているピンク・レディーの「ペッパー警部」など20曲を熱唱した。

 このアルバムは、島倉千代子さんの「人生いろいろ」や昨年のNHK紅白歌合戦でも歌った美空ひばりさんの「人生一路」といった昭和の名曲に加え、阿久さんが作詞した八代亜紀の「舟唄」のカバーなどで構成されている。さらに阿久さんの未発表作品である新曲2曲を収録している。

 その2曲のうち、市川がステージでも歌ったのが「年の瀬あじさい心中」という楽曲だ。レコード会社関係者は「阿久先生の作品を管理する会社から、この曲は市川さんに歌ってもらいたいと見込まれた作品」と明かす。

 ただ、この曲は「希望がないのなら 私が一緒に死んであげてもいい」で始まる「非常に重い世界観の歌」(同)。そんな楽曲を市川は見事なまでに歌いこなしている。

 音楽関係者は「ひと口に25年といっても、いろいろなことがあった。休業した時期もある。そんなつらい思いを乗り越えた市川だからこそ歌える曲だし、歌ってもらいたい曲と託されたのかもしれません」と指摘した。

 市川は「25周年に歌手としてやっていけているのが奇跡に近くて、夢のよう」としみじみ語ったが、そのメモリアルイヤーに出合った「年の瀬あじさい心中」にも注目が集まりそうだ。