演歌歌手・氷川きよし(41)が4日、東京・明治座で上演中の座長公演「氷川きよし特別公演」(29日まで)の公演後、報道陣の取材に応じた。

 演劇の部では人気者の旅役者を演じ、歌唱コーナーではシングル「勝負の花道」やデビュー曲「箱根八里の半次郎」などを熱唱し、ファンを沸かせた。

 真っ赤な衣装で登場した氷川は「華やかなのでお客さんは喜んでくれる。年齢がいくと『どこか落ち着いた方がいいんじゃないか』と言う人もいるけど、自分は自分らしく、華やかな世界をお客さまに見せる歌手として一生の幕を閉じたいな、と思っています」と語った。

 明治座での座長公演も今回で5回目。だが氷川は「『座長』って言わないでください。なんか『座長だ!』っていう感じで、イヤなんですよ」と意外な心境を明かした。「座長」という言葉の響きが偉そうに聞こえるようで「年下からでも『きよしちゃん』って呼んでほしい。楽しく自然体でやりたい」。

 とはいえ「座長公演」など、やりたくてもなかなかやれるものではない。特に明治座で1か月、座長公演をできる歌手など、ほんの一握りだ。イベント関係者は「いくら人気がある有名歌手でも、1か月の長丁場となる公演にお客さんを集めるのは本当に大変。平日もありますからね。劇場側も確実に客席を埋めてほしいから、座長公演ができる歌手は絞られてきます」と言う。

 氷川は数少ない歌手の一人だが、音楽関係者は「氷川は日ごろから『楽しんでほしい』『明日からも頑張ろう、と思ってもらえるようなものを見せたい』などと言っていて、常にファンを楽しませることを考えている。毎回手を替え品を替え、見る側を飽きさせないように工夫しているので、ファンも付いてくるんじゃないですか」と指摘する。

「座長」という言葉の響きは嫌いでも、氷川が立派な座長であることは間違いない。