1960年代に加山雄三(81)主演の映画「若大将」シリーズで加山と名コンビを組んだ女優・星由里子さんが、心房細動と肺がんのため16日に京都市内の病院で死去していたことが18日、明らかになった。74歳だった。日本映画の黄金時代にデビューし、東宝の看板女優として活躍。明るく健康的でキュートな魅力でスクリーンを彩り、テレビドラマや舞台にも出演。昭和の名女優がまた一人、世を去った。

 1990年、3度目の結婚を機に京都に移り住んでいた星さん。昨年はNHK・BSの新春時代劇や民放のバラエティー番組に登場し、黒柳徹子のトーク番組「徹子の部屋」(テレビ朝日系)で近況などを語っていた。健康状態悪化が報じられることもなく、突然の訃報だった。

 星さんは1943年、東京の旧神田区(現千代田区)生まれ。父親は乾物店を営んでいた。幼少時から宝塚歌劇に憧れ、映画館の入場者数が史上最高の11億2745万人を記録した58年、東宝が宝塚歌劇団の東京公演にちなんで募集した「ミス・シンデレラ娘」に選ばれる。東宝と専属契約を結び、59年の映画「すずかけの散歩道」で銀幕デビュー。浜美枝、田村奈巳とともに「東宝スリーペット」として売り出された。

 61年、加山主演の「若大将」シリーズ第1作となる「大学の若大将」で加山の恋人役「澄子」を演じる。同作は大ヒットしてシリーズ化され、星さんは「澄ちゃん」として親しまれた。68年「リオの若大将」まで約10本の出演は同シリーズの大半を占め、加山との名コンビが人気を呼んだ。

 加山とは鬼才・川島雄三監督のコメディー「箱根山」(62年)のほか、文芸作品「何処へ」(66年)などでも共演。64年には東宝看板シリーズの一作「モスラ対ゴジラ」にも出演し、96年「わが心の銀河鉄道 宮沢賢治物語」では日本アカデミー賞の優秀助演女優賞を受賞した。97年のNHK連続テレビ小説「あぐり」などテレビドラマや舞台にも取り組み、近年ではドラマ「科捜研の女」「ドクターX~外科医・大門未知子~」や、北島三郎の舞台で国定忠治の女房を演じた。

 私生活では70年に実業家と結婚したが、翌年早々に離婚。75年、上方喜劇などが持ち味の小説家・脚本家の大御所、花登筐氏と再婚し、約15歳年上の相手とのロマンスが話題になった。花登氏とは83年に死別。90年に一般男性と再々婚を遂げ、前出の「徹子の部屋」では、97歳の姑と同居中だと明かしていた。

 訃報を受けてネット上には「光進丸(4月に全焼した加山の船)に続いて星由里子さんまで」と若大将のマドンナを惜しむ声や、「モスラ対ゴジラの星さんは本当にキレイでキュートだった」「花登先生が亡くなられた時の記者会見の毅然とした態度は大女優の品格」といったコメントが寄せられている。