フジテレビが看板枠の“月9ドラマ”30周年記念作品として放送を始めた人気グループ「嵐」の相葉雅紀(34)主演ドラマ「貴族探偵」が、初回視聴率11・8%で船出した。予算を度外視し、脇を固める俳優陣に主役級を揃え復権を目指したものの、まさかの“低空スタート”。これが決定打になるとささやかれているのが、同局トップ人事を巡る動きだ。

 17日にスタートした「貴族探偵」は主演の相葉の脇に、女探偵役の武井咲(23)、そのボス役の井川遥(40)、刑事役の生瀬勝久(56)、運転手役の滝藤賢一(40)
、メイド役の中山美穂(47)、執事役の松重豊(54)、謎の女役の仲間由紀恵(37)と、主演級のキャストが揃った。

「30周年を迎えた月9ドラマにふさわしいキャスティングを、とフジがジャニーズ事務所に再三、お願いしてようやく相葉主演が実現したんですが、実情は違っていたんです。それはそうでしょう。フジが第1に希望していたのは同じ嵐でも一番人気の松本潤、続いて二宮和也、そして櫻井翔だった。3人の誰かが主演に収まると思っていたから、予算を度外視して豪華な共演者をキャスティングしたんです」(芸能プロ関係者)

 視聴率、スポンサー料金も低迷するフジにあって、前出の豪華共演陣となると、そのギャラもすさまじかった。

 フジ関係者によると「1本あたりの制作費はなんと1億円超え。相葉のギャラだけで300万超。他のキャストを加えるとギャラだけで3000万はいってしまう。これにスタッフの人件費、美術、技術、ロケ先の宿泊費などもろもろ合わせるとNHK大河ドラマ以上とも言われている。全話合わせれば、映画が撮れる金額なんです」。

 テレビ番組の視聴率が低迷する昨今、この1本1億円がいかにすごいかは、他局の制作費を比較すれば一目瞭然だ。

「ゴールデン、プライム帯ではNHKが5000万円、TBSとテレ朝が4000万~5000万円。テレ東が3500万円。日テレは2000万~3000万円ですね」(制作会社関係者)

 それでも、月9の30周年記念作品だからと、フジの亀山千広社長(60)ら上層部もゴーサインを出した。だが、結果は最低ラインの15%にも届かない視聴率だったため、早くも主演の相葉を外すプランまで飛び出しているという。

「主演は相葉ですが、今後は脇役の誰かにスポットを当てる回を作るというスピンオフの同時進行案も出ている。そうすれば、視聴率もアップする可能性がありますからね。そのためにプランBという秘密台本も用意されているとの情報もありますよ」(関係者)

 第2話以降、盛り返す可能性もあるが、社運をかけたドラマがロケットスタートできなかったことで、局のトップの“退陣論”でトドメを刺す形にもなったという。

「『貴族探偵』が初回30%でスタートしていればまだ続投の望みがあったでしょうが、6月の株主総会で、亀山社長は退任する方向で動いています。後任の新社長も作家・故遠藤周作さんの一人息子で現専務取締役の遠藤龍之介氏で内定したようですよ」(事情通)

 60歳の遠藤氏は2005年、ホリエモンこと堀江貴文氏のライブドアが、フジテレビの筆頭株主だったニッポン放送へ敵対的買収を画策した時、広報部長として対処に奔走した。「日枝久会長はこの時の遠藤氏の手腕を高く評価し、民放キー局では異例の広報畑出身ですが、局内外からも人望があることからも指名したそうです」(同)

「踊る大捜査線」の大ヒットなどを手がけ、トップに上り詰めた亀山社長が、ドラマの不人気でトドメを刺されて退陣となりそうだ。

(視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区)