総務省消防庁は14日、全国の消防団員が4月1日時点で85万9945人(速報値)と過去最少を更新したと発表した。年々、減少に歯止めがかからない中、消防関係者が期待を寄せたドラマもズッコケスタート…。巻き返しに策はないのか。

 消防団は全国に2208団あり、団員は常勤の消防職員とは違い、普段は会社員や自営業など仕事を持ち、火災や災害などの非常時に活動する非常勤特別職の地方公務員だ。

 消防団員の数が右肩下がりとなっているのは、高齢化や自営業者の減少、地域社会への帰属意識低下などが原因といわれる。しかし、元東京消防庁消防官で防災アナリストの金子富夫氏は「若者、元気な高齢者はたくさんいます。消防団の訓練内容は100年前と変わっていない。号令、整列、掛け声、制服など今の若者は受け入れるはずがない。あくまで普段の生活の延長線上に活動があると分かってもらうべき」と旧態依然とした消防団のあり方が問われていると説く。

 危機感を抱いた総務省消防庁と東京消防庁が全面協力で乗り出したのが7日に始まった連続ドラマ「HEAT」(フジテレビ系)だ。EXILEのAKIRA(33)演じる主人公が会社勤めの傍ら、消防団に入団し、栗山千明(30)ら女性団員と活動する消防ものだ。

 過去に海上保安庁が「海猿」シリーズのヒットで入庁希望者が増加したとあって、総務省や消防庁もアピールに躍起だったが、初回視聴率は6・6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と振るわなかった。ちなみに第2話の視聴率は3・9%(同)だった。

「内容がまともすぎて、硬すぎる。結局、消防庁が指導する立場だから“無理をしない、させない”演出になっている。現実的に消防団員が大火災の中に飛び込んでいくなんてことはあり得ないが、江戸の火消しみたいにスーパーヒーロー風の刺激的な内容にしないと話題にもなりません」(金子氏)

「HEAT」は既に映画化も決まっている。このままでは消防団員の数と併せ、ジリ貧となりかねない。