名古屋を代表する銘菓「ういろう」に異変が起こっている。創業明治12年の老舗「青柳総本家」が期間限定でマンゴー味のういろうを売り出したところ、これが大人気。棹物(さおもの=細長く固めた菓子の総称)のういろうの中では青柳総本家の通販売り上げトップになっているという。一体なぜマンゴー味が人気なのか?

「しろ、くろ、抹茶、上がり(こしあん風味)、コーヒー、ゆず、さくら」。これは名古屋人なら誰もが知っているフレーズ。約10年前まで名古屋地区で放映されていた「青柳ういろう」のテレビCMの一節で、東海地方の人にういろうの種類を尋ねたら、おそらく全員がこの7つを答えるはずだ。

 だが現在、青柳総本家ではコーヒーとゆずは生産されておらず、代わりに小豆と栗のういろうが販売されている。そして6月から8月末までの期間限定で販売されているのがマンゴー味だ。

 ういろうにマンゴー味とは意外な組み合わせだが、もっちりした食感に濃厚でさわやかなマンゴーの味と香りはマッチしていると評判。しかも「7月以降、通販での販売数は(8種類ある)棹物のういろうの中でマンゴー味が一番です」(青柳総本家)という。実はこのマンゴー人気に火をつけたのが地元・名古屋のアイドルグループ・SKE48とのコラボ商品だった。7月19日に発売されたSKEの新曲「意外にマンゴー」の発売を記念して青柳総本家ではパッケージに「SKE48」と「意外にマンゴー」の文字が入ったコラボ仕様の「マンゴー味ういろう」3000本を限定販売。小畑優奈(15)らメンバーがSNSなどで積極的にPRしたこともあって名古屋の銘菓とアイドルのコラボは大きな反響を呼んだ。

 青柳総本家エスカ直営店やSKEのイベントなどでコラボ仕様のマンゴー味ういろうを数量限定で販売すると、売り出すたびに売り切れ。3000本のコラボ仕様商品は現在、ほぼ完売状態になっているという。通信販売ではコラボ仕様のマンゴー味ういろうを手に入れることはできないが、ノーマルパッケージのマンゴー味ういろうは購入することができるため「せっかくだからマンゴー味を食べてみたい」というSKEファンを中心に注文が増加。それが人気の「しろ」や「抹茶」を抑えてマンゴー味が通信販売での販売数トップになっていることにつながったとみられている。

「(SKEコラボのマンゴー味ういろうを求めて)お客さまが列を作って並んでくださったり、普段はあまりういろうを召し上がらないような若い方たちにもアピールできてうれしく思います」(青柳総本家)。SKEは新曲のプロモーション、青柳総本家サイドは新規の顧客開拓につながった今回のコラボは両者にとって「ウィンウィン」だったようだ。