AKB〝雑草魂世代〟の倉野尾成美が抱えた「アイドルは必要不可欠な存在ではない」の葛藤

2021年09月16日 05時15分

選抜メンバー18人に選ばれた倉野尾成美

 コロナ禍で、多くの業界が〝存在意義〟とぶつかってきた。エンタメ界もその一つだが、AKB48は9月29日に1年半ぶりに新シングルをリリースする。選抜メンバーの倉野尾成美(20)は、コロナ禍で「アイドルは必要不可欠な存在ではない」という葛藤を抱えたという。かつて〝国民的グループ〟と呼ばれたAKB48が、再び盛り上がりを見せる中で、「必要とされる人間になりたい」と素直な感情を明かした。

 AKBは2005年12月に誕生し、今年で16周年を迎えた。最初の緊急事態宣言発令前に発売した前作以来、実に1年半ぶりに58枚目のシングル「根も葉もRumor」を世に送り出す。ロックダンスを取り入れた、グループ史上最高難度のダンスは好評。ユーチューブ公式チャンネルで公開されたダンス動画の再生回数は150万回を突破した。

〝シングルの顔〟となる選抜メンバー18人に選ばれた倉野尾は、約1年半ぶりの新曲に「メンバーが『まだ出さないの?』としびれを切らす感じだった(笑い)。でも、スタッフさんが『出すからには盛り上げていきたい!』と熱い思いをメンバーに話してくれて。息が切れて頭が真っ白になるくらい体力を使うんですけど、私もロックダンスを極めようと思いました」。

 AKB全盛時代を支えた前田敦子、大島優子ら黄金世代はいない。当時を経験する現役メンバーは柏木由紀ら一部に限られる。

「誰かについていくなんて言ってられない。自分が引っ張っていく側なんだと自覚が芽生えました。それじゃ遅いぐらいで、もっと早く思わないといけなかったんですけど…。ただ、選抜に選ばれたことは素直にうれしいですし、頑張ります」

 今年、グループ成人式で自らを「雑草魂世代」と例えた。思い描いていた10代最後の活動はコロナ禍で大幅に制限され、「良くも悪くもアイドル活動を考えた」と吐露していた。

 改めてコロナ禍の心境を聞くと「私、アイドルという職業が必要不可欠ではないのかなとか考えちゃいました。ネガティブなんですけど、たくさんの活動が制限されて、世の中でも生きていくうえで大事なことが見えてきた。もちろんアイドルに対しての考え方はみんな違う。でも、衣食住的な話にもなってくるんですけど、『自分は必要不可欠な存在ではないんだな』という感覚になったんです」

 それでも倉野尾はアイドルらしい表情を見せ、笑いを交えて真摯に答えた。悩んだからこそ「求められる環境」の大切さを改めて痛感したことも大きいという。

「ファンの方がいることって、すごくうれしいなって(笑い)。久しぶりに有観客で舞台などができると、『あ、いる!』と驚いて、ウルッとしてしまったんです。家族みたいな感覚もあり、それに…オタ卒してなくてよかったと安心しました」と笑った。

 公開中の怪談エンターテインメント映画「未成仏百物語~AKB48異界への灯火寺~」では女優として熱演。スクリーン越しではあるが、自身のファンを喜ばせている。

「ホラーは大の苦手なんですけどね(笑い)。怖がる顔をどう表現するか、監督さんと話し合いながら頑張りました。舞台などもさせていただいて、そのたびに経験は大事だなと感じてます。明るいキャラではないんですけど、新しい自分に出会う感覚が楽しいです」

 今後の目標を聞くと、「器用貧乏なところもあって、自分がまだ自分を探し中です。これから見つけたい」と苦笑い。それでもグループにとって「必要とされる人間になりたい」と力強く語った。

☆くらのお・なるみ 2000年11月8日生まれ。熊本県出身。14年に各都道府県の代表からなるAKB48「チーム8」の熊本代表として加入。現在はチームKも兼任。18年「ジャーバージャ」で初めて選抜入りし、「NO WAY MAN」「サステナブル」「根も葉もRumor」と選抜回数4回。19年には熊本県南阿蘇村観光PR大使に就任した。

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