【インタビュー前編】オカルト怪談エンターテインメント映画「未成仏百物語~AKB48異界への灯火寺~」(9月10日公開)に出演する武藤十夢(26)は〝AKB48らしさ〟を最も体現したメンバーかもしれない。女優としても活躍しながら、平均合格率5%といわれる「気象予報士」の資格を持ち、先日はファイナンシャル・プランナーの試験にも合格。昨年大学院も修了した武藤は、なぜ学業とアイドルを両立するのか――その理由に迫った。

 ――映画はドラマ、対談などのパートで構成されている。ドラマパート「あそぼう」では、子供の幽霊を目撃する警備員役を演じた。

 武藤 怖いホラー体験をする役は初めて。お化けなど怖い映像を見るのはすごく苦手なんですけど、ホラー映画ってこういう風に作られているんだと勉強になりました。お化けの子が、白塗りにされてる段階から見ていたので(笑い)。でも、改めて自分のドラマを見たら「うわ!」と思って怖かったですね。

 ――深夜にお寺で後輩メンバーの小栗有以、込山榛香らと怪談を座談会形式で語り合うパートもある。最年長として進行役を務めた

 武藤 私もいつの間にか先輩になったなと(苦笑い)。緊張しながらドキドキの表情をしてます。でも、怪談の話を聞いているときの表情がもうちょっとだったかなと。メンバーのそれぞれ表情を見て、すごく勉強にもなりました。

 ――AKB48の活動で怪奇現象は?

 武藤 昔、劇場のステージにお化けが出る話はよく聞きました。メンバーが「うわ~!」って言いながら(楽屋に)帰ってくるみたいな。ドームツアー(2013年)で北海道の札幌ドームでコンサートをしたとき、ホテルで「出た~!」とみんな騒いでいたみたいで。でも、私は霊感が本当になくて、怖いな~と思いつつ何も起こらないんです(笑い)。

 ――「寺西一浩ドラマ 人生いろいろ」(東京MX)に出演中。女優としても活躍している

 武藤 まだまだ勉強途中で楽しむ余裕もないんですけど、感情を動かされて自分で思ってもみない表情や声のトーンが出たときに「演技ってこういうことがあるんだ!」と驚いていて。演技をするたびに、本当に新しい発見があるので、これからも挑戦していけたらと思います。

 ――「ファイナンシャル・プランニング技能士2級」の資格取得が話題に。2019年には気象予報士の資格も取得

 武藤 いったいどこに向かっているんだという感じですよね(笑い)。(FP2級は)昨年の春に大学院も修了した直後で、勉強する習慣が身についてるうちに何かやらなきゃと思って。最近は金融系のお仕事もさせていただいてるので、もっとお金に詳しくならないといけないと思ったんです。将来への不安もありますし(笑い)。

 ――アイドル活動と学業との両立は大変では

 武藤 たぶん…ものすごく負けず嫌いなんですよ。特に気象予報士の勉強中は「無理だからやめな」とか「まだやってたんだ」と当時、すごく言われてた。ネットなどで書かれているのを見て「クソ~絶対取ってやる!」って。諦めたくなくて反骨精神ですよね。

 ――アイドルの中には学業との両立を諦めて卒業するケースもある

 武藤 高校に入ったときから「なんでそんなに頑張れるの?」とか言われたりもしたんですけど、私としては当たり前のことだったんです。大学に行かなきゃと思ってましたし、そのために学校にも行かないといけないし、アイドルとしての活動もちゃんとやらないといけない。やるかやらないかの選択肢はなくて、やるしかないと思っていたので、別につらくはなかったんですよ。ただ、大変ですし、時間もなかったから、全部を習慣にしてしまったんです。ドMなんですかね(笑い)。

☆むとう・とむ 1994年11月25日生まれ、東京都出身。2011年にAKB48第12期研究生オーディションに合格。選抜総選挙で7位にランクインするなど人気メンバーとして活躍。19年4月に8度目の挑戦で気象予報士に合格。昨年4月に成城大学大学院経済学研究科修了。今年6月に「ファイナンシャル・プランニング技能士2級」の資格を取得した。現在、ABEMAの情報番組「AbemaMorning」でお天気キャスターとして出演する一方、投資情報誌「ダイヤモンドZAi」で連載も持つ。