「紅白落選」AKBに秋元康氏が託した〝金言〟

2020年11月17日 05時15分

AKBの原点は秋葉原のAKB48劇場

 NHKが大みそかに放送する「第71回紅白歌合戦」で、昨年まで11年連続出場中だった人気アイドルグループ「AKB48」がまさかの落選となった。乃木坂46ら坂道3グループが出場を決めただけに、「時代か…」と悲しむ声も。しかし取材を進めると、意外なほどグループに悲壮感はない。それには秋元康総合プロデューサー(62)が託した〝金言〟も関係している――。

 昨年まで11年連続、通算12回出場していたAKB48が落選した。一時期は姉妹グループのSKE48、NMB48らAKBグループが多く出場していたこともあり、ネット上では「時代か…」「AKBが紅白に落選する時が来たか」など、驚きの声が次々に寄せられた。

 ファンに〝時代〟を色濃く感じさせたのは、「公式ライバル」という肩書きで誕生した乃木坂46(6回目)をはじめ、櫻坂46(初出場)、日向坂46(2回目)とすべての坂道グループが出場を決めたこともある。

 AKBが今年発売したシングルは、3月の57枚目「失恋、ありがとう」のみだが、オリコン週間ランキングで初週116・7万枚を売り上げ、前人未踏の38作連続のミリオンを達成した。

 しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響は〝会いに行けるアイドル〟を掲げる同グループの逆風となった。劇場公演や握手会などファンと触れ合う機会を失ったことは大きく、AKB関係者も「緊急事態宣言以降、目立った活動ができませんでしたから。リリースも1枚ですし、致し方ない」と言う。

 2005年12月8日に東京・秋葉原のAKB48劇場を拠点に誕生し、しばらくは〝会いにいけるアイドル〟として地道な活動に従事。偏見と戦いながら少しずつファンを獲得し、世間にも認知されていった。紅白には09年から連続で出場。「選抜総選挙」はゴールデンタイムにキー局で生中継されるなど、〝国民的アイドルグループ〟と呼ばれるほど大ブレークした。

 旬が短いアイドル業界にあって、AKBほどの大所帯グループがファンを含めた世間の関心を維持し、紅白出場を続けてきたことが異例中の異例と言える。

 乃木坂46と欅坂46が勢いを増してきた16年の12月8日に行われた「AKB48劇場11周年特別記念公演」で、秋元康総合プロデューサーはメンバーにこんな趣旨の話をしたという。

「最近、乃木坂46や欅坂46が勢いがあると感じるかもしれないが、11年も続くグループはない。乃木坂や欅坂もあと何年続くか分からない。それは自信を持って、これからも汗を流してほしい。エンターテインメントは汗を流してこそ、人を魅了する」「君たちには劇場がある。ここからいつでも頑張れるんだから」

 秋元氏の言葉どおり、欅坂46はグループ内の問題で5年の歴史に幕を閉じ、今年10月に「櫻坂46」に改名した。初めての劇場公演はわずか7人の観客からスタートしたAKBが、ここまで紅白出場を続けてこれたのも、こうした地道な活動があってこそだろう。

「もちろんショックはあるが、逆に闘志を燃え上がらせているメンバーも多い。紅白という守るものがなくなったことで、思い切ったチャレンジもできる。そして、紅白の舞台に返り咲ければ」とは別のAKB関係者。

 紅白落選も、グループの長い歴史を彩る一つの出来事にすぎないかもしれない。