「NGT48」の元メンバー・山口真帆(24)に暴行したとして、暴行容疑で逮捕(不起訴)された男性ファン2人に対し、運営会社だったAKS(現Vernalossom)が損害賠償を求めた裁判の弁論準備手続きが8日、新潟地裁で行われ、AKSと被告側との和解が成立した。

 事件後、山口らと被告らは現場近くの公園で話し合いの場を持ち、その様子を録音したテープも存在。週刊誌に流出して波紋も広がった。そこで被告らは山口に“メンバーに相談し、メンバーに提案されて、やったこと”などと話したため、山口も他のメンバーの関与を疑った。

 AKS側の代理人である遠藤和宏弁護士が取材に応じ、報道陣から「そうした発言が虚偽であったとハッキリしたのですか?」と問われると「そこは事実に反するとおっしゃっていただいた」と話した。

 山口への暴行に関して、被告らは顔をつかむ等の事実を否定したが、同弁護士は「少なくともドアを引っ張り合うことの行為はあり、暴行はあった」とした。

 被告らは裁判の過程で、事件以前から山口との“つながり”と呼ばれる私的交流をしていたことを明かし、その上で暴行するような関係性ではないと主張した。これには「終始一貫そういう主張はされてましたけど、その点は客観的で確たる証拠を求めさせていただきましたけど、出てこなかった。証人尋問をしても出てこず、同じ主張なのかなと思いました」と話した。

 裁判の目的については「事件の真相究明」や「メンバーの関与がなかった」ことの証明を挙げていたが「不起訴の理由すら私たちは分からなかった。被告らのご意見をお聞きする機会すらなかった。(被告らは)第三者委員会の要請にも応じなかった。そういった点で今回、民事裁判をしたことで、被告らの主張が聞けたことは少しでも真実に近づけたのかなとは思う」と意義を見いだした。

 その一方で「最後まで証人尋問で公開の裁判での判決には至らなかった。その点に関しては申し訳ない」と無念さをにじませた。

 裁判の過程で、当事者である山口を証人として出廷要請はしなかったが「山口さんのご主張に関しては、第三者委員会でも山口さんはご主張をなさっている。インターネットでご主張をなさった部分もくみ取って、主張をさせていただいた点もある」と説明した。

 改めて和解した理由を聞かれると「双方の立証も出尽くした感がありましたし、裁判所からも和解のご提案もあった。長い期間も経過してますし…。一般論としていつまでも争うことはよろしくないことですから。一定程度、納得できることがあれば。前向きになるために裁判があると思うので、和解の道を模索することも一つですので」と胸の内を明かした。

「勝訴的和解か、敗訴的和解か?」という問いについては「私は勝訴的和解と思っている」とし、被告からは数百万円の損害賠償金とA4サイズ1枚の謝罪文が提出されたことを明かした。

 NGT48を含むAKB48グループ主催イベントだけではなく、別組織が主催する参加イベントに関しても“出禁処分”に同意したという。暴行事件を巡る一連の騒動は、全国ニュースで大きく取り上げられるほど注目を集めた。

「ファンの方や国民の方がどの程度、納得される裁判だったと思うか?」と聞かれると「そうですね…。なかなか皆さんに納得していただけるかは分かりませんけども…皆さんが判断いただくこと」と裁判の難しさを感じさせた。