人気アイドルグループ「AKB48」が結束を強めている――。毎年6月に行われていた48グループの祭典「AKB選抜総選挙」が今年は不開催。テレビで生中継までされてきたビッグイベントが行われないのはファンにとっては寂しい限りだが、実は悪いことばかりではない。時間的余裕ができたメンバーは個々の力を上げることに尽力し、一致団結。グループの苦境が叫ばれるなかで、巻き返しに燃えている。

 AKB48は6月30日、東京・秋葉原にあるAKB48劇場で柏木由紀(27)が考案したセットリストの公演「僕の夏が始まる」の初日公演を迎えた。
 柏木、AKB48グループ総監督の向井地美音(21)らメンバー16人が「3つの涙」「ボーイフレンドの作り方」「ポニーテールとシュシュ」など全16曲を披露した。

 公演前には報道陣向けに公開ゲネプロと囲み取材も行われた。

 柏木はAKB全楽曲を1日3時間ほどかけて聴き込み、1か月悩んでセットリストを考案。メンバーはこれまでなかなかできなかった体力づくりやボイストレーニング、基礎的な歌の練習にも改めて取り組んだという。

 柏木は「メンバーがいろんな表現ができるようになってほしいし、劇場公演に立つ楽しさや、ステージにもっともっと立ちたいなと思ってもらえるようにしたかった。目立つ活動ではないかもしれないけど、私たちは劇場を大切にしたいと思っている。ファンの方にもそんなAKBを応援してて良かったなと思ってもらえるように頑張りたい」と力を込めた。

 そんな柏木といえば、AKBが6月1日(千葉)と同9日(埼玉)にショッピングモールで開催したフリーイベントの発案者でもある。昨年で10回目を迎えたグループ最大イベント「選抜総選挙」が今年は行われないことで、グループをアピールする場を求めての発案だった。
 全国に生中継され、48グループの知名度アップに多大な貢献をしてきた総選挙。不開催は痛手とも言えるが、今のグループにとってはむしろプラス面が大きいという。

「総選挙はファン投票でメンバーの人気順位が決まるイベント。ファンへの対応で神経をすり減らすメンバーも多く、ライバルとなるメンバー同士がギスギスしてしまう面もあった。しかし、総選挙がないために気持ちもスケジュールも余裕ができ、これまでなかなかできなかった“AKBの原点”といえる地道な活動ができている。メンバーの交流が活発になり、団結力も生まれている」(AKB関係者)

 昨今は乃木坂46や欅坂46ら“坂道グループ”が勢いを増す一方で、48グループでは指原莉乃(26)がHKTを卒業。AKBでも知名度のあるメンバーは柏木らごく一部だ。

 現状のメンバーが総選挙で争ったとしても、黄金期のようにお茶の間の関心を呼ぶことは難しい。それだけに今はメンバーが一致団結し、“新生AKB”を知ってもらうことが必要だという。

「AKBは7月7日から4年ぶりの全国ツアーをスタートさせるが、これもスケジュールに余裕ができたからこそ。ここでどれだけのファンを開拓できるか。実力を伴ったスターの誕生も期待されている」と出版関係者。

 グループをまとめる向井地は「最近のAKBは、いろんなメンバーが自ら発案して何かをしようということが増えている。公演のリハーサルでも先輩、後輩関係なく積極的に意見を出し合っている」と早くも変化を感じている。

 総選挙不開催がケガの功名となるか?