瀬戸内7県を拠点に活動するアイドルグループ「STU48」の船上劇場が16日、ついに就航し、初日公演が行われた。広島市内で行われた就役式では、広島県知事らを前にキャプテンの岡田奈々(21)が「48グループの歴史に刻まれる日になる」と宣言すれば、瀧野由美子(21)も「“後悔”させない“航海”にします!」とダジャレをぶっ放すなど、前例のない船上劇場完成に沸いた。

 広島市の広島国際フェリーポートで行われた船上劇場「STU48号」の就役式に出席したのは中学生メンバーらを除くSTUの27人。
 フェリーを改造した船上劇場は、全長77・8メートル、全幅12・5メートルで、収容可能な観客数は約300人だ。メンバーは展望デッキから笑顔で手を振りながら入港した。

 STUは2017年3月に誕生した国内6番目となるAKB48の姉妹48グループ。瀬戸内エリアを本拠地とし、「1つの海、7つの県」を股にかけるAKBグループ初の広域アイドルグループとして活動している。

 当初、船上劇場は17年夏の出航を予定していたが、18年夏に延期され、さらに今春にズレ込んでいた。

 2度の延期について、関係者は「当初は既存の船を改造して船上劇場を造ろうとしたが、頓挫。ゼロから船を造ることも検討したが、それも難しく、既存の船を大掛かりに改装することになった。また、着工準備後も海路の交通ルールや、停泊する港との調整や手続きなどが想定以上に時間を要した」と明かした。

 昨夏、活動拠点である瀬戸内地方を襲った西日本豪雨の被災状況に鑑みた面もあったという。

 キャプテンの岡田は「この2年半、船を待ち続けましたけど、苦ではなかった。いろんな困難もありましたけど、待っている間にファンの皆さんやメンバーとも絆が生まれた。STU48の新たな歴史の幕開けで、48グループの歴史に刻まれる日になると思います」と感慨深げに話した。

 今後、船上劇場は瀬戸内海を周遊し、兵庫・神戸港、岡山・宇野港、山口・下関港、徳島・徳島小松島港、愛媛・今治港、香川・高松港で公演を行う。広島県の湯﨑英彦県知事らを前に、岡田は「日本全国、世界中に愛されるグループにしたい」と誓った。

 その後、船上劇場で待望の初日公演が行われ、リリースした2枚のシングルでセンターを務めた瀧野は「絶対に“後悔”させない“航海”にします!」とダジャレで宣言した。

「総合プロデューサーの秋元康氏は、『おニャン子クラブ』(1985年誕生)を手掛けていたころから、船の上でアイドルの公演をする構想を練っていたとか。いわば、STU48劇場の就航は長年の悲願だったということ」(別の関係者)

 昨年1月にファーストシングル「暗闇」でメジャーデビューしたSTU。いきなりオリコン週間ランキング1位を獲得し、同年の「第60回 輝く! 日本レコード大賞」で「新人賞」を受賞。今年2月発売のセカンドシングル「風を待つ」も週間1位を獲得した。

 前例のない船上劇場での公演が始まったことで、さらに勢いを増しそうだ。