新潟を拠点に活動する「NGT48」のメンバー・山口真帆(23)に対する暴行事件をめぐって、運営会社のAKSが22日、新潟市内で記者会見を開いた。しかし、山口がツイッターで会見内容にリアルタイムで反論するという、前代未聞の異常事態となった。第三者委員会は、ファンとのつながりがあった12人のメンバーを“不適切”と認定。まずは「そのメンバーを処分すべき」との声もあるが、それができない裏事情があるという。

 AKSは22日、男性2人による山口への暴行事件の第三者委員会による調査結果に関する説明会見を行った。AKSの運営責任者兼取締役・松村匠氏、NGT48劇場支配人・早川麻依子氏、同副支配人の岡田剛氏が出席。会見は予定された2時間を大幅に超え、3時間弱にわたった。その理由は、被害者である山口のツイッターだ。

 報告書では、今回の事件には直接の関係はないものの、12人のメンバーが「つながり」と呼ばれるファンとの私的接触があったことが明らかになった。しかしAKSは、これについて不適切としながらも「不問に付す」とした。

 松村氏は「証拠がある話ではない。範ちゅうがあいまいで、ファンと道ばたであいさつすることも範ちゅうに含まれている」と説明したが、報告書に「あいさつ」という単語は存在しない。

 山口はツイッターで「報告書に記載もないのに繋がりには挨拶も含まれるというのは勝手な解釈です。他のファンには公表できないような、特定のファンとの私的交流を繋がりと言うのはメンバーのみならずファンの皆さんも認識していると思います。証拠がないと仰っていますが、犯人グループとの交際を認めたメンバーもいます」と非難した。

 当該ツイートを元に報道陣からの指摘で、松村氏らは報告書を確認。記載がなかったことに松村氏は「私的領域でつながることの中に『あいさつ』があると解釈していた。それは訂正させていただく」と述べた。

 また犯人グループとの交際を認めたメンバーについて松村氏は「本人と今一度話さないといけないのかな、というのが正直なところ」と述べるにとどめた。

 さらに山口はツイートで「松村匠取締役は第三者委員会が行われる前に『繋がっているメンバーを全員解雇する』と私に約束しました。その為の第三者委員会だと、私も今までずっと耐えてきました」と、一向に処分をしない姿勢を批判。

 他にも1月10日の公演でファンなどに謝罪したことについて「私は松村匠取締役に1月10日の謝罪を要求されました」「なんで嘘ばかりつくんでしょうか」などともツイート。これに松村氏が「謝罪の要求はしていない」と否定するなど、運営会社と山口の深い溝を感じさせた。

 山口がこだわる処分を運営サイドはなぜ決断できないのか? その複雑な事情について、関係者はこう打ち明ける。

「第三者委員会の調査で、ファンとの“つながり”を指摘された12人の具体的なメンバーの名前が挙がった。実はその中に山口本人の名前もあるんです。確たる証拠がある話ではないだけに、名前の挙がったメンバーを全員処分しようとするならば、公平性を保つために被害者である山口を調査せざるを得なくなってしまう。しかし、当然ながらそんなことはできない。それが今回はメンバーを“不問”と判断した要因にもなっている」

 この12人は、メンバーを事情聴取した結果、挙がってきた名前だが、勘違いや山口のことを快く思っていないメンバーがうそを言っている可能性もないとは言い切れない。

 山口が言うように、暴行事件を起こした犯行グループとの交際を認めたメンバーがいるなら、AKSが暴行事件への関与を調査するべきだろう。

「事件前からグループ内でできていた、特定のグループ間の対立関係が想像以上に悪化していたことも真相解明を複雑にさせている。運営サイドが何度となく強調したコミュニケーションを少しでも改善させなければ、グループは前進できない」(芸能プロ関係者)

 会見中に被害者が反論のツイートをするなど、騒動は泥仕合の様相を見せているが、こんな状況で果たして解決に向かうことができるのか?

【事件の経緯】2018年12月8日午後9時ごろ、山口の自宅玄関前に男2人が押し掛け、山口の手や顔を押さえ込むなど暴行。2人は翌9日に新潟県警に逮捕されるも同28日に不起訴処分となった。

 山口が2019年1月9日にSNSで男2人に襲われたことや、メンバーの関与を投稿。運営側は10日に「あるメンバーが山口さんの自宅を知らないものの、推測できる帰宅時間を伝えた」と関与を認めるコメントを発表していたが、14日には「メンバーの中に違法な行為をした者はいない」と関与を否定していた。3月21日に「メンバーが関与した事実はなかった」という第三者委員会の調査結果を運営側は発表し、暴行に及んだ男2人に対しては「民事上の法的措置を検討」するとした。