【SKE新オーナー独占直撃(3)】アイドルグループ「SKE48」が上場企業「KeyHolder(キーホルダー)」の傘下に入ったことでより求められるのがコンプライアンスだ。SKEの新オーナーとなった東証2部上場企業「Jトラスト」の藤澤信義社長(49)へのインタビュー第3弾はこの点にフォーカス。NGT48・山口真帆さん暴行事件の余波が残る中、藤澤社長が法令順守の意識とともに最重要課題に挙げたのがメンバーへの安全対策だった。

 ――株式会社SKEの親会社であるKeyHolderのIR活動や決算報告の中でSKE単体の決算なども公開しますか

 藤澤社長:現在調整中ですが(KeyHolderの)エンターテインメント事業の売上高がいくら、利益がいくらという形になるのではないか。SKE事業だけでいくらということは出てこないと思います。IPという意味でSKE事業をメインにしていきますが、売上高の比率でいうと、そんなに大きいわけではない。ただ上場企業なのでディスクローズしていくところはしていきます。これまでよりは情報が公開されると思います。

 ――SKEが上場企業グループの一員となったことでメンバーやスタッフにはこれまで以上にコンプライアンスが求められる

 藤澤社長:保護者の方への説明会でもそういう話をしました。こういうことをするとダメです、法令違反になりますという話も出たのですが、親御さんの中には逆に不安になった方もいたかもしれません。説明会は親御さんたちを安心させるために行われたはずなのに逆に心配させてしまったかも(苦笑い)。ただ間違いなく、なあなあということはなくて、コンプライアンスは重視しなければならない。世の中の流れも相当厳しくなっています。メディアも含めてチェックが厳しいじゃないですか。上場会社ですからより厳格になると思います。

 ――具体的にはどういう部分が厳しくなりますか

 藤澤社長:次にこういう事業をやっていきますとか、こういうグループと提携していくとか、いろいろな情報がメンバーたちには先行して入る。それをツイッターなどで発信してしまうと、インサイダー情報を漏らしてしまうことにつながる。そのへんをどうコントロールしていくかですね。

 ――昨年12月にはNGT48・山口真帆さんへの暴行事件が起きた。NGTのメンバーがファンとつながっていたのではないかと一部で報道された。SKEで、そういった問題が起こらないようにするためにどうしますか

 藤澤社長:相当厳しくやるんじゃないですかね。それを(現場に)要請していかないといけない。そういうこと(NGTのメンバーと一部ファンがつながっていたと報道されたこと)があったかどうかは分かりません。ただファンの皆さんに支えられているグループです。一部のファンだけとかいうことはあってはならない。平等、公平ということは大事だと思っています。そういうことが起きないような態勢づくりはコストがかかってもやらなければならない。

 ――NGTの事件では“アイドルハンター”がメンバーが住むマンションの住所も調べていたともいわれている。保護者の方々も安全面について心配している

 藤澤社長:ちゃんとやっていかないといけないですよね。まず現状把握からだと思うんですけど。問題意識は運営スタッフも持っている。今までは状況によっては承認が得られないということもあったかもしれない。だが、今までは今まで。これからは新しいステージ、新しい考え方でやっていくのでがらっと変わっていきます。現場の話を吸い上げていかないと分からない問題もたくさんあります。そういう声はしっかりと聞いていきます。そういう意味で、すでに(KeyHolderから)現場に何人かスタッフが入っています。

 ――今までだったら難しかったことでも実現する可能性は

 藤澤社長:ありますね。(KeyHolderの)関連会社のテレビ番組制作会社(KeyProduction)では女性のタレントさんのマネジメントもしています。その中で住まいの不動産関連とか送迎関係には特に気を使っています。(SKEで)今までやっていたことの、どこを残してどこを新しくしていくか検証していく。男性タレントだと「電車で現場に来て、勝手に帰って」と、できるけど女性はそうはいかない。何が起こっても対応していけるように、ちゃんと守っていけるようにしようと。親御さんに安心してもらえる態勢を整えるのがわれわれの務めだと思います。

(続く)

☆藤澤信義(ふじさわ・のぶよし)=1970年1月17日生まれ。岐阜県出身。東京大学医学部卒業。東証2部「Jトラスト」代表取締役社長。3月1日にJトラストの子会社「KeyHolder」がSKEを傘下に収め、実質的なオーナーとなった。