2011年にスタートして今回で8回目となる、宗派や宗教を超えた日本の伝統文化体験イベント「寺社フェス 向源」が東京・中目黒の正覚寺などで始まった(5、6日開催)。

 4日には前夜祭として「怪談グランプリ」優勝の“怪談和尚”三木大雲氏(蓮久寺)が怪談説法を行った。真っ暗でひんやりしたお堂に集まった100人超の怪談好きは、関西の某峠で悲惨な目に遭った男性の恐怖体験に悲鳴をあげた。しかし、時に折り込まれる三木氏の冗談に笑ったり、仏教の教えに深くうなずいたりすることもあった。

 向源は4月末の「ニコニコ超会議」にもブースを出展。東京向源代表の嶋田一成氏(宗隆寺)は「向源はリピーターは多いが、イベントを知らない方にも新しく足を運んでもらうように門戸を広げた」と話す。怪談や超会議も挑戦的な試みだったが、成功をおさめた。

 入場無料で、体験には有料と無料のものがあり、当日ふらっと来ても楽しめる。「目黒三ヶ寺」(目黒不動瀧泉寺・五百羅漢寺・蟠龍寺)を僧侶と回って様々な修行を体験するツアーや水行体験、落語家の寄席など多様なイベントを用意する。

 たとえば「遊べる立体浄土双六」は仏教の世界を立体的に再現したすごろくだ。人によっては5~6手で仏になれるが、一方で地獄に落とされたり、この世で延々と修行を繰り返したりする者もいる。インスタ映えを狙うなら「2D仏像顔出し看板」に顔をはめれば、誰もが大日如来や不動明王になれる。

 また「お坊さんと話そう会」は終日実施。普段はなかなか出会うことのない僧侶とヒザを突き合わせてみれば、あなたの胸のモヤモヤも晴れるかも。イベントは「布教のためではない」という。嶋田氏は「我々の仏教にかける思いを問いかけるもの」と話す。難しいことを考えずに参加できそうだ。