パフォーマー・首くくり栲象さん死去

2018年04月10日 16時30分

首つりパフォーマンスを見せる在りし日の古澤さん

 長きにわたって自宅の庭で毎日のように首をつり続けてきた、パフォーマーの「首くくり栲象(たくぞう)」こと古澤栲(本名・守)さんが3月31日に都内の病院で息を引き取ったことが分かった。70歳だった。肺がんだった。先日、密葬が営まれた。

 昨年、記録映画「首くくり栲象の庭」が公開され、先月まで放送されたドキュメンタリードラマ「山田孝之のカンヌ映画祭」(テレビ東京)に出演するなど近年、注目を集めていた。

 古澤さんは、東京・国立市にある自宅の庭で月に数日「庭劇場」を開催し、“首つりパフォーマンス”を披露していた。

 1回につるされる時間は10分程度。この時間、古澤さんは目を閉じ、体を自由に動かすことはできない。両足の下には30センチほどの穴が掘られているので、爪先が届くことはないからだ。入場料は1000円。

 生前、本紙の取材に答えてくれた。

「ロープはほぼ完全に首に入っています。もちろん息ができなくなることもあります。なぜ、このパフォーマンスをやっているのかと聞かれると、人がなぜ食事をするのかということを考えれば、分かりやすいと思います。これは、パフォーマンスでもありますが、自分の生活の一部でもあります」

 首つりパフォーマンスを始めたのは1969年ごろ。庭劇場のない日でも毎日4~5回はこのパフォーマンスをやっていたという。

 69年といえば、日本は、高度経済成長の真っただ中にあった。古澤さんは時代に流され、翻弄されるのが嫌で嫌でしょうがなかった。昼間から酒を飲む生活が続き、「これではどうにもならない…」と思ったときに思い付いたのが首つりパフォーマンスだった。

 しかし、生活の一部としてパフォーマンスを続けた結果、肺を傷めていたことを明かしていた。

「実はね、肺炎で入院したこともあるんですよ。首をつるわけですから、息ができなくなります。そのようなときは、体の中に残っている空気を探すんです。肺の中に残っている空気をムリヤリ戻して思いっ切り吸ったんです。そうしたら肺炎になってしまいました。今、肺の半分がつぶれているんです。長い間、体にムリをさせてきたので、そのツケが出たんでしょうね」と話していた。

 自分自身と向かい合って、その表現の奥深くにあるものを探求していた古澤さん。自殺を考えていた人が庭劇場を訪ねてから、自殺をとどまり、生きていく決心をしたという話も聞く。数多くの人たちにとって、古澤さんは、忘れることはできない存在となっている。