【鈴木涼美・連載14】「素人」という肩書を持って気軽にバイトする「玄人」

2018年03月30日 10時00分

「素人神話が」「パパ活」を作り出したと解説する鈴木涼美氏

【東大大学院出身の元セクシー女優・鈴木涼美「ワタシの値段」(14)】前回、「パパ活」の実態を語りましたが、最近では広い意味で使われているのも確かなんです。

 それこそ、単純にデートをするだけで1万円というケースもあるし、交際クラブには登録しないで、ラウンジなんかでバイトをしてパパになってくれる人を探し、デートするたびに、いくらかのお金をもらうという子もいますね。それに、お金持ちの外国人を求めて旅に出る人もいたりと、その形態は多様になってきました。

 そんな広い意味で使われるようになった「パパ活」ですが、はっきり言えば、一昔前に流行していた「援助交際」と、やっていることはそんなに変わらないんですよね。それこそ、カラオケ行くだけでお金をもらう人もいれば、「あんなことやこんなこと」をしてお金をもらう人もいる。まあ、うまい言葉を作ったという感じです。

 でも、女の子にとっては結構、楽なんですよね。普段は風俗で働いているんだけど、毎日出勤するわけじゃなくて、暇な子や、風俗で働く時間がない子とかの、受け皿になっている気はします。

 それに風俗との兼業はしやすいですよ。週3日でソープに出勤する女の子が、他の空いている日におじさんとデートをして7万円。これをやっている知り合いの女の子は結構、高収入なギャルになってます。

 だいたい7万円をデリヘルとかで稼ぐって、かなり大変なんですよ。3~4人のお客さんが付かないと、そこまではいかないですからね。

 それに、予定も組みやすいので「昼職」との兼業もしやすい。金曜日夜7時に、っていう指定があったりするけど、その日はどうしても時間が合わないのなら行かなくてもいいわけですから。おまけに風俗店に行くという出勤形態がなく、行き先はレストランだったり、シティーホテルだったりするから、精神的なハードルは低いんです。

 だからといって、おじさんたちが頭で描いているように、普通の女の子があちらこちらで「あんなことやこんなこと」をしてるというのは、単なるファンタジーにすぎないと思いますね。

「援助交際」だったり「出会いカフェ」だったり、いろいろ形態は変わっていますが、やっぱり「あんなことやこんなこと」をする女の子の絶対数、絶対的な割合は増えているわけではないんです。ローションプレーやマットプレーもできるけど、あえてしない子だったりするんです。

 そう考えると、「パパ活」というのは「素人という名の玄人」に興奮する「素人神話」を持つおじさんと、「素人」という肩書を持って気軽にバイトする「玄人」の女の子の出会いの場ということになるかもしれません。

☆すずき・すずみ=1983年7月13日生まれ、東京都出身。2002年に慶応義塾大学環境情報学部入学。そのころからキャバクラで働きはじめ、04年にAVデビュー。07年、東京大学大学院学際情報学府に入学する。卒業後、09年4月、日本経済新聞社入社。都庁や総務省記者クラブ、整理部などに所属。13年に修士論文を元にした著書「『AV女優』の社会学 なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか」(青土社)刊行。14年8月、日本経済新聞社退社。同年11月「身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論」(幻冬舎)を出版し、17年7月に映画化される。著書には「愛と子宮に花束を」(幻冬舎)、「おじさんメモリアル」(扶桑社)。