【鈴木涼美・連載13】日本人の「素人神話」とは

2018年03月29日 10時00分

「パパ活」の実態を語る鈴木涼美氏

【東大大学院出身の元セクシー女優・鈴木涼美「ワタシの値段」(13)】出版した「オンナの値段」でも書いていますが、複数の週刊誌から「パパ活」の実態についてコメント下さい!と依頼を受けることが多くなりました。本当に「パパ活」という言葉がはやっていますよね。

 最近ではこの言葉が、広い意味で使われるようになりましたが、最初の「パパ活」というのは、交際クラブだったんですよ。交際クラブっていうのは、女性がクラブに登録し、お金持ちの男性と知り合って、食事をしたり「あんなことやこんなこと」をして、対価としておカネをもらうというところです。

 こういうことを言うと交際クラブに嫌がられるんですけど、実際のところ、交際クラブっていうのは風俗の一つの形態として登場してきたわけです。こういうところで女の子を探しに来るおじさまが求めている女性というのは、“普通”の女子大生だったり“普通”のOLさんなんですよね。

 一昔前なら、銀座で働いているような女の子を囲っておくというようなおじさまたちもいましたが、いまはこんなご時世。そこまでの経済的余裕はないけど、1日5万円とか7万円くらいで“普通”の女の子と一緒に食事をしたり、「あんなことやこんなこと」をしたり、と愛人ごっこを楽しみたいと思っているんです。これが日本に根強く残る「素人神話」でもあるんです。

 では、こういった交際クラブの門を叩く“普通”の女の子というのは、どういったお嬢さん方なのかというと――。

 普段キャバクラだったり、デリヘルだったりで働いている女の子なワケですよ。そもそも、こういうクラブの話を持ってくるのが、渋谷や歌舞伎町などを徘徊するスカウトマン。キャバクラや風俗に女の子を紹介するような人たちですね。そういうスカウトマンが「パパ活って興味ない?」と声をかけ、その声に立ち止まって聞く女の子は、やっぱり「夜職」に就いているか、興味を持っている。

 当然、登録している女の子のすべてがすべて、というわけではないですが、おおよそ、風俗で働いている子やAV女優が登録していて、そういう過去の経歴はなかったことにして、いまの「昼職」だったり、持っている資格だったりと、フワッとした肩書を持ち、素人の女の子として、おじさんの相手をするんですよ。

 オジサンたちは“普通”の女子大生と「あんなことやこんなこと」をしたり、できるようになったと思っているかもしれないけど、「パパ活」という言葉がなければ、ソープで出会っている子かもしれないんですよ。

☆すずき・すずみ=1983年7月13日生まれ、東京都出身。2002年に慶応義塾大学環境情報学部入学。そのころからキャバクラで働きはじめ、04年にAVデビュー。07年、東京大学大学院学際情報学府に入学する。卒業後、09年4月、日本経済新聞社入社。都庁や総務省記者クラブ、整理部などに所属。13年に修士論文を元にした著書「『AV女優』の社会学 なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか」(青土社)刊行。14年8月、日本経済新聞社退社。同年11月「身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論」(幻冬舎)を出版し、17年7月に映画化される。著書には「愛と子宮に花束を」(幻冬舎)、「おじさんメモリアル」(扶桑社)。