【鈴木涼美・連載11】AV女優の肩書は中国の風俗界では“エリートコース”

2018年03月27日 10時00分

セクシー女優の現状を語る鈴木涼美氏

【東大大学院出身の元セクシー女優・鈴木涼美「ワタシの値段」(11)】中国系のお客さんには「AV女優」っていう肩書が、異常なまでに威力を発揮するという話をしましたが、本当にすごいんです。

 以前、日本の有名AV女優が、中国では国民のアイドルのような存在になったこともありましたが、それほど中国人の“日本人のAV女優信仰”はすごいんです。

 私の知り合いにも単体のAVに1本だけ出たことがある女の子がいるんですが、その子が自分の出ているDVDを持ってマカオに行ったら、一晩お付き合いをして10万円、20万円っていうおカネが、当たり前のように入ってくるっていうんです。持って行ったDVDにサインをして渡そうものなら、さらにおカネが出てくるなんてバブリーなことが、海の向こうでは起きているんだそうです。

 日本でもそのくらいの金額を出す“パパ”もいないわけではないですが、結構、探すのも大変。だから“パパ活”なんて言葉もできてくるんですが、それがマカオでは当たり前というんですから、そりゃ賢い子は行きますよね。

 単体に1本出ているくらいの女の子でその額です。有名AV女優ともなれば、その金額が一晩お付き合いをして100万円、200万円と跳ね上がる。そりゃもう、稼ぎたければ海外へ行けってなもんです。当然、日本にも中国人のビジネスマンや観光客相手に、元AV女優などを在籍させるデートクラブなんかもあるみたいですが、同じくらいの金額が飛び交う。なんでも買春ツアーなんかもあるそうで、一晩100万円の“爆買われ”状態もあるみたいですよ。

 だからでしょうか、いまは女の子の中でAVに出演する感覚も変わってきているようです。いまでも作品に1本出演して高額なギャラをもらう女優もいるとは思いますけど、そういう子だけではないんです。たとえギャラは安くてもいいから、とにかく単体でデビューするのが最大の目的。1本の出演作を作って、その肩書とDVDを持って海外に出稼ぎに行くんです。その方が、より稼げるという子も出てきたみたいですね。

 最近の日本では、出演の強要問題などもあって、差別される側の人間になっていますけど、海の向こうに行けばAV女優のキャリアは、大金を稼ぐプラチナ切符のようになっているし、風俗界ではかなりのエリートコースです。どこに立つかで人の価値が違ってくる。女の子の世界というのは本当に面白いです。

 いまだにAV信仰の強い中国ですが、これが日本に限ると全く逆になるから面白いんですよね。

☆すずき・すずみ=1983年7月13日生まれ、東京都出身。2002年に慶応義塾大学環境情報学部入学。そのころからキャバクラで働きはじめ、04年にAVデビュー。07年、東京大学大学院学際情報学府に入学する。卒業後、09年4月、日本経済新聞社入社。都庁や総務省記者クラブ、整理部などに所属。13年に修士論文を元にした著書「『AV女優』の社会学 なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか」(青土社)刊行。14年8月、日本経済新聞社退社。同年11月「身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論」(幻冬舎)を出版し、17年7月に映画化される。著書には「愛と子宮に花束を」(幻冬舎)、「おじさんメモリアル」(扶桑社)。