【鈴木涼美・連載10】風俗の女の子が「稼ぎたい」と行き着く先は…

2018年03月26日 10時00分

女の子の海外流出事情を語る鈴木涼美氏

【東大大学院出身の元セクシー女優・鈴木涼美「ワタシの値段」(10)】ちょっと前に“草食男子”って言葉がはやりましたが、それに伴って女の子の動き方も変わってきましたよね。

 水商売って景気にも左右されますけど、いまは若い男の子が風俗に行かなくなった。お客さんも高齢化してます。やっぱりお金に余裕があるのも、女性にお金を使う習慣を持っているのも50代くらいの男性。

 いまの若い男の子は、お金を使ってまで女の子とそういう関係になりたいとの欲もないし、お金もない。そもそも女の子にお金を払う習慣がないですからね。日本がそれだけ社会的に成熟してきたというのもあるのかもしれませんが…。

 あの中国人の“爆買い”じゃないけれど、日本もバブルのころってヨーロッパで爆買いをしていたように、社会が過渡期だからこそ、物欲とか性欲とかすごいんだと思う。そういうバブル的なものがどうしても水商売には必要で、賢ければ賢い子ほど、時代の潮流を読むし、乗る。だからいまはバブル絶頂の中国やマカオ、香港などに出稼ぎに出る女の子が増えているんです。

 もともと東京から地方に“出稼ぎ”に行く女の子はいたんです。地方は女の子の絶対数が少ない側面もあって、「お客が付かなくても1日5万円を保証します」っていう条件があったりする。

 20日間も働けば100万円ですから、ホストの売掛金が払えないとか、カードの引き落としが間に合わないとか、「どうしてもこの日までに○○万円を用意しないといけない」と切羽詰まった女の子には便利でした。こういう情報はスカウトマンが持っていて、女の子に流したりするのです。

 地方へ“出稼ぎ”に行く子っていうのは、どちらかというと、例えば吉原では第一線で稼ぎにくくなった子ですよね。ちょっと年齢がいっちゃっているけど、地方だとまだまだかわいいし、洗練されてたりして、好条件で働けたりしたんです。まあ、都会で稼げなくなった子が地方に行くスタイルでしたが、いまは違う。

 都会でもバリバリできる子が地方ではなく、さらなるバブルを求めて中国やマカオに行くんです。歌舞伎町のラブホテルにいるよりも、マカオの高級ホテルの方がいいという感覚。バブリーさを求めて海を渡るんです。ここで重要になってくるのが肩書。中国系のお客さんにはよく言われることなんですが、「AV女優」の肩書は、すごい威力を見せるんですよ。

☆すずき・すずみ=1983年7月13日生まれ、東京都出身。2002年に慶応義塾大学環境情報学部入学。そのころからキャバクラで働きはじめ、04年にAVデビュー。07年、東京大学大学院学際情報学府に入学する。卒業後、09年4月、日本経済新聞社入社。都庁や総務省記者クラブ、整理部などに所属。13年に修士論文を元にした著書「『AV女優』の社会学 なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか」(青土社)刊行。14年8月、日本経済新聞社退社。同年11月「身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論」(幻冬舎)を出版し、17年7月に映画化される。著書には「愛と子宮に花束を」(幻冬舎)、「おじさんメモリアル」(扶桑社)。