【鈴木涼美・連載7】東大大学院時代、夜はラウンジで働いていました

2018年03月23日 10時00分

「最終学歴は東大!」と東大大学院に進んだ鈴木涼美氏(提供写真)

【東大大学院出身の元セクシー女優・鈴木涼美「ワタシの値段」(7)】高校3年生のときに「受験をする」と決めてからバリバリ勉強したように、勉強ブームが来ると、一心不乱に勉強するようになった私は、ゼミ長をやったりと、勉強の鬼と化していくんです。

 こうなると、私のキャラクター付けという“クセ”が…。そのころ、「慶応生って意外とキャラ弱い」と感じ始めてたんですよね。やっぱり「高学歴でキレイな女の子」というキャラクターを目指すなら東大に越したことはない! 最終学歴は東大だ! そう考えて、東京大学の大学院へと進学するんです。

 大学院ではセクシー女優だった過去がバレたらやめさせられるんじゃないかと警戒してましたが、東大の大学院生の男の子というのはマジメでいい子が多く「キミがAV女優だった、なんて言うやつがいたから否定しておいたよ」という具合に、気を使われておりました。別にホントのことだから、否定しなくてもよかったのに…。

 大学院時代はマジメに毎日、国会図書館へ通い勉強してましたね。それでも、夜は銀座のラウンジみたいなところで働いていましたけど。夜の銀座で働いていたときに印象深かった男性が「イズミダの爺」で、「おじさんメモリアル」(扶桑社)でも書いているんですが、優良企業の社長さん。それこそ奥田瑛二さんみたいにダンディーだったし、銀座かいわいでも「あのお客さんはいいですよね」と評判だったんです。それこそ、ランチに一緒に行ったら10万円のお小遣いをくれるような、“大人の遊び”を知っている男性だったんです。

 それが、私が大学院を卒業して新聞記者になったころ連絡がきたんです。「イズミダの爺」は関連会社が多額の負債を抱えて倒産したという話を耳にしていたんですが、会ってみたらビックリ。ダンディーだった顔はゲッソリしていて、「一緒にお風呂入ろう」とか言いだすし、キャラも激変してた。会社が倒産して自信をなくしたんでしょう。彼を取り繕っていた仮面がボロボロとはがれ落ちてしまったんだなと感じましたね。

 銀座の話で思い出しましたが、最近、銀座時代に店に来てくれていた男性から連絡があったんですよ。特に良くしてもらったイメージもなかったんですが、ここのところ、大学院当時に彼氏がいた話をあちらこちらで書いていたら、連絡が来て、「あのころ、彼氏がいないって言ってたじゃないか! あのときのつぎ込んだカネ返せ!」と言いだしてくるんですよ。確かに、競馬場の馬主席に連れて行ってもらったこともありましたが、向こうも妻子ある身でしたしね。それが、彼氏がいるいないで、10年以上も前の話を今されてもねぇ。いやいや男の人は怖いです。

☆すずき・すずみ=1983年7月13日生まれ、東京都出身。2002年に慶応義塾大学環境情報学部入学。そのころからキャバクラで働きはじめ、04年にAVデビュー。07年、東京大学大学院学際情報学府に入学する。卒業後、09年4月、日本経済新聞社入社。都庁や総務省記者クラブ、整理部などに所属。13年に修士論文を元にした著書「『AV女優』の社会学 なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか」(青土社)刊行。14年8月、日本経済新聞社退社。同年11月「身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論」(幻冬舎)を出版し、17年7月に映画化される。著書には「愛と子宮に花束を」(幻冬舎)、「おじさんメモリアル」(扶桑社)。