【鈴木涼美・連載5】キャバクラ嬢やって分かった「オンナの値段」のつき方

2018年03月21日 10時00分

慶応大学に通っていたころの鈴木涼美氏(提供写真)

【東大大学院出身の元セクシー女優・鈴木涼美「ワタシの値段」(5)】慶応大学に入学したもののたった3か月で「平凡な生活から抜け出そう」と、活路を見いだしたのがキャバクラです。

 いまでこそ横浜駅は規制されてますけど、当時の横浜駅って、改札出たらズラッとキャバクラのスカウトマンが並んでいるような場所だったんです。そこで友達とウロウロしながら、スカウト待ちをして、いろんな店の体験入店っていうのを繰り返していましたね。

 そのころのキャバクラの体験入店って、1日入ると日払いで2万~3万円くらいもらえたんです。ブルセラショップ感覚でしたね。それで、お金もらったら、カラオケ行って、なんて日々を過ごしていたんです。

 ただ、やっぱり体験入店では面白さがなくて、結局、大学時代にキャバクラ嬢としてデビューするんですけど、この世界ってすごく分かりやすい実力主義なんですよね。同伴出勤の回数だったり、あくまでも売り上げ重視。そのなかでナンバーワンがいたりするんですけど、その条件もいろいろ。一番美人だからナンバーワンになるわけでもないし、トークがうまいからナンバーワンになるわけじゃない。自分の“オンナの値段”を知ることができるという点では、すごく面白い世界なんです。

 それでも、絶対的な“ナンバーワンになる条件はコレだ!”ってのはいまだにナゾなんですよね。街によっても違うし。たとえば、新宿歌舞伎町なら非日常的なお姫様みたいな女の子が当時、はやっていましたね。ちょうどギャル系ファッション雑誌の「小悪魔ageha」が創刊されてブームになっていたころですね。髪の毛を盛りに盛ったお姫様のような女の子がその地位にいましたね。

 そんな時代でも、横浜とか銀座とか、ちょっとご年配のオジ様が多いところなんかはまったく逆。お嬢様がちょっと間違って迷い込んじゃいましたっていう本当に素人みたいな女の子がウケてたりするんです。逆に「キャバクラ嬢です!」くらいメークを磨き上げているような子は敬遠されてたりする。技を磨けば磨くほど、価値が下がる場合もあるんです。

 そういう意味で言うと面白い世界ですよね。だって、男の人の世界でこういうことってあります? 普通、技術を磨けば磨いただけ、その人の価値って上がるじゃないですか。男の人が働く世界って普通、そうですよね。技術を磨いたら時給が下がるなんてこと、そんなにないですよね。でも、この世界は違うんです。キャバクラ嬢風のメークに慣れていけばいくほど、素人っぽさがなくなればなくなるほど、価値が下がっていく。つくづく女の子って面白いと思うし、女に生まれてよかったなって実感します。

☆すずき・すずみ=1983年7月13日生まれ、東京都出身。2002年に慶応義塾大学環境情報学部入学。そのころからキャバクラで働きはじめ、04年にAVデビュー。07年、東京大学大学院学際情報学府に入学する。卒業後、09年4月、日本経済新聞社入社。都庁や総務省記者クラブ、整理部などに所属。13年に修士論文を元にした著書「『AV女優』の社会学 なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか」(青土社)刊行。14年8月、日本経済新聞社退社。同年11月「身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論」(幻冬舎)を出版し、17年7月に映画化される。著書には「愛と子宮に花束を」(幻冬舎)、「おじさんメモリアル」(扶桑社)。