急死団十郎さん秘話 関東連合との暗闘

2013年02月07日 16時00分

 歌舞伎界に大きな衝撃が走った――。歌舞伎を代表する大名跡を継ぎ、弁慶や助六などの風格ある立ち役としても活躍してきた十二代目市川団十郎(いちかわ・だんじゅうろう、本名堀越夏雄=ほりこし・なつお)さんが3日午後9時59分、肺炎のため東京都港区の病院で死去した。66歳。2004年に白血病と診断され、以降は闘病しながら舞台を続けた。団十郎さんは、息子・海老蔵(35)とフリーキャスター、小林麻央(30)との結婚に目を細めたが、悪夢の“海老蔵暴行事件”では加害者側の関東連合サイドに怒り、あらゆる手段を使って対抗しようとしたという。そんな(秘)エピソードを公開する。 昨年12月に中村勘三郎さん(享年57)を失ったばかりの歌舞伎界が悲しみに包まれた。

報道陣にも差し入れの心優しい人  

 

 関係者によると、病院には妻の希実子さん、海老蔵・麻央夫妻が駆けつけ、団十郎さんの最期をみとったという。

 団十郎さんは昨年12月18日に風邪による体調不良で京都・南座の「吉例顔見世興行」を休演。帰京後に「肺炎の疑いがある」と診断され、都内の病院に入院した。

 その後、1月の新橋演舞場公演、3月の主演舞台「オセロー」の休演も発表。表向きには4月2日にリニューアル開場する「『歌舞伎座こけら落とし公演』に出演するため、大事を取って療養に専念する」とされたが、一部関係者の間では「肺炎と言っても免疫力が低下しており、かなり悪いようだ。とてもこけら落とし公演は無理だろう」とささやかれた。

 団十郎さんの遺体は4日午前0時半ごろ、東京・目黒区の自宅に無言の帰宅。歌舞伎仲間の市川染五郎(40)らが弔問に訪れたが、団十郎さん宅と言えば、何かとお騒がせの海老蔵のおかげで報道陣にとって有数の“張り込みスポット”だった。

「海老蔵と麻央の交際・結婚に始まり、海老蔵殴打事件。そのたびに団十郎さんの家の前によく集まりましたね。団十郎さんはどんな話題でも、話してくれるからです。数年前、冬の寒い夜に家の前で待っていた報道陣に、温かいワインを差し入れするなど、心優しい人でした」とワイドショー関係者。

 10年7月29日に行われた海老蔵と麻央の結婚式では「どこから見ても色男だ。親に似たんだな」と褒め、トークショーなどでも「目の大きいのが良く似ているんです。いい男でしょ」と絶賛した。

「待ち遠しい。早く対面したい」と今年3月に誕生予定の孫(麻央の第2子)との対面を今か今かと待ち望んだが、かなわなかった。

 

関東連合サイドにあらゆる手段取り対抗 

 

 そんな団十郎さんが海老蔵のため、獅子奮迅の活躍をみせたのは、結婚式から4か月後に起きた“海老蔵殴打事件”の時だ。

 西麻布で酔っ払った海老蔵が、暴走族グループ「関東連合」(解散)の元メンバーに殴打され、入院したあの事件。現場には六本木クラブ襲撃事件で先日、殺人罪などで再逮捕された石元太一被告(31)らがいた。

 関東連合と海老蔵の騒動があった際には「荒事(あらごと=雄々しく豪快な歌舞伎の演技)」は市川家の芸とばかりに、海老蔵を擁護。「海老蔵もこれを芸の肥やしに、より大きな歌舞伎役者になってほしい」と大けがからの復帰を願った。

 事件発生当初は連日、団十郎さん宅を20~30人の報道陣が取り囲み、ワイドショーでおなじみとなった団十郎さん宅は“観光地”化して昼も夜も多くのやじ馬が訪れ閑静な住宅街は一変した。

 団十郎さんは迎車のタクシーを敷地に入れて、車に乗り込んでから外出する用心深さではあったが、真冬に早朝から詰めかける報道陣を振り切れず、呼びかけに「ご迷惑をおかけしています」と自宅前で取材に応じたこともあった。

 だが、ある芸能プロ関係者は「海老蔵の酒癖の悪さは重々承知していた団十郎さんですが、実は石元ら事件に関与した人間への怒りはかなりのものでした。息子が殴られて入院させられただけではなく、当時ほとんどのテレビ局が関東連合サイドに立って、海老蔵をボロカスにやりましたから。『絶対に許さない』と信頼できる筋には話していたそうですし、あらゆるルートを使って対抗しようとしていた」と明かす。

 くしくも団十郎さんが亡くなる直前、因縁の石元被告や「関東連合」の元メンバーらは殺人罪の疑いで再逮捕された。息子を“傷物”にされ、怒り狂っていた団十郎さんも、このニュースを聞いて安心して天国に旅立ったのではないだろうか。

 ☆…いちかわ・だんじゅうろう 1946年8月6日生まれ。東京都出身。十一代目団十郎の長男として生を受け、7歳で市川夏雄を名乗り初舞台。58年に六代目市川新之助を襲名したが、19歳で父を亡くした。叔父の二代目尾上松緑らに師事して修業を重ね、69年に十代目海老蔵を襲名。坂東玉三郎との「海老・玉」コンビで人気を集めた。85年4月の歌舞伎座で十二代目団十郎を襲名。異例の歌舞伎座3か月公演、襲名披露としては初の米国公演など、大掛かりな襲名披露によって歌舞伎人気を押し上げた。当たり役は「勧進帳」の弁慶など。NHK大河ドラマ「花の乱」(94年)などテレビドラマや舞台にも出演。海外でもたびたび公演を行い、2007年にはフランス芸術文化勲章コマンドールを受章。ほかに日本芸術院賞、芸術最優秀賞、紫綬褒章など。長男は歌舞伎俳優の市川海老蔵。

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