藤井六段 師匠と公式戦初対局で勝利「さらに活躍していかねば」

2018年03月08日 20時10分

師匠の杉本七段(右)と対局した藤井六段

 将棋の藤井聡太六段(15)が8日、大阪市の関西将棋会館で指された第68期王将戦1次予選で、師匠の杉本昌隆七段(49)との公式戦初対局に臨んだ。

 杉本七段は前泊、藤井六段は当日入りで迎えた注目の師弟対決には、報道陣約70人が詰め掛けた。将棋連盟関係者は「関西将棋会館で指された対局では、公式戦28連勝を飾った澤田真吾六段との対局以来の数ですね」と語った。

 藤井六段は小学4年の時に杉本七段に弟子入り。練習対局では、藤井六段が杉本七段に勝つことが多かったという。そんな2人はこの日、棋士控室であいさつを交わしたものの、対局室に移ると目さえ合わさず。普段と変わらぬ藤井六段に比べ、杉本七段は駒をきれいに並べたり、ハンカチに手をやったりと落ち着かない様子を見せた。

 杉本七段の先手番で始まった対局は、藤井六段にとって3度目、昨年8月の豊島将之八段(27)との対局以来となる千日手が成立。指し直しとなった対局を藤井六段が111手で制した。

“恩返し”を果たした藤井六段は「公式戦で対局できるというのはとても楽しみにしていた。対局中はいつも通りの気持ちで、と思っていました。とてもいい経験になりました。奨励会時代からたくさん教えていただいた。これからもさらに活躍していかねばと思います」と話した。

 一方、敗れた杉本七段は、涙ぐみながら「私が19の時に師匠(板谷進九段)が亡くなりました。当時、自分はプロではなかったので、師匠との公式戦はかないませんでした。形を変えて藤井六段と公式戦で対局できてうれしい」と感慨深げに語った。

 念願の師弟対決には「毎局のようにカメラに囲まれる中で指していて大変なのがわかった」と常に注目を集める弟子を思いやったが、そこは勝負師だ。「勝負が始まってしまえば、自分のことを考えるのでやりにくさはなかった。対局前の方がいろいろ考えた」とキッパリ。

 弟子に“恩返し”を許す形となったが「彼の強さは証明されている。改めてかける言葉はないです。この対局は私まで注目してもらい、記念になりました。勝負としては非常に残念ですが、今日の一日は非常に素晴らしいですし、藤井六段にお礼を言いたい。彼もさらに成長していると思いますが、できることならまたもう一回対局したい」と再戦に思いを巡らせた。