映画評論家や翻訳家、監督らでつくる日本映画ペンクラブの「2017年度日本映画ペンクラブ賞」贈呈式が8日、都内のホテルで行われ、映画監督の大林宣彦氏(80)が受賞した。

 大林氏は昨年12月公開の「花筐/HANAGATAMI」で、太平洋戦争直前の若者たちの青春を描いた。

 肺がんを患い、余命宣告を受けながら同作の撮影を行った大林氏は、両脇を支えられて登壇。つえを片手に、盾を受け取ると「とても誇らしい。ありがとうございます」と感謝。続けて「舞台にステッキを持って上がるのはルール違反ですが…」と冗談を飛ばし、会場を笑わせた。

「あの戦争で殺されなかった、自決もしなかった。ここまで生き延びて、がんごときでは死ねない。あと30年は生きて映画を作ろうと思っています」と力強く語った。

 映画については「第1次、第2次世界大戦とともに洗練されてきたもの。映画が発明したフィロソフィーは、ハッピーエンドという思想だ」と力説。

 また「世界から映画が必要ではないというぐらい、平和で穏やかになるよう、混乱した政財界を映画の力でハッピーにする責任がある」と語った。