しょこたんのスマホ“没収” ピリピリ「東京五輪マスコット発表」舞台裏

2018年03月01日 16時30分

中川翔子(左)からマスコット候補「ア」の3Dマスコットを授与される作者の谷口亮氏

 かわいいマスコット決定の裏側に超厳戒態勢が――。2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会は28日、都内で公式マスコット発表会を行った。最終候補3作品(ア案、イ案、ウ案)の中から選ばれたのは、フリーイラストレーター・キャラクターデザイナーの谷口亮氏(43)による「ア」案だった。全国の小学生がクラス単位で投票するという世界初の試みの裏で、組織委関係者は事前の情報流出に超ピリピリ。あり得ないほどの厳戒態勢が敷かれていた。

「ア」案は、大会エンブレムでも採用された市松模様をヒントに、伝統と近未来が一つになった作品。そのクールなビジュアルは小学生に圧倒的な支持を受け、3案の中で断トツの10万9041票(1万6769校から総数20万5755票=1票は各学校のクラス単位)という得票数だった。

 都内の小学校で行われたセレモニーは、大勢の小学生が集められ、テレビ中継も入るなど大々的に開催。得票数の発表の瞬間は子供も大人も固唾をのんで見守り、大盛り上がりになった。

 作者の谷口氏は「夢見心地です。今まで賞を取ったことがなかったので素直にうれしい」と感無量の様子。組織委マスコット審査会の生駒芳子副座長(ファッションジャーナリスト)も「かわいいし、かっこいい。今の日本にピッタリだと思う」と高く評価した。

 昨年1月、組織委の中にマスコット選考検討会議が設けられ、まずは選考方法を議論。それが固まると一般公募を開始し、8月に2042の作品が集まった。その後、マスコット審査会の審議を経て、ようやく3案まで絞り込んだのは12月だった。

「当初、国際オリンピック委員会(IOC)は、小学生が選ぶことに『本当にできるのか?』と懐疑的でした。何と言っても世界で初めての試みですからね。結果、大成功に終わりました」(組織委関係者)

 森喜朗会長も「世界中の人が注目したので、すごいパブリシティーになったと思う。平昌五輪の出場選手たちが帰ってきて興奮冷めやらないときだから、発表はグッドタイミングでしたね」とホクホク顔だ。

 その裏側で、マスコット審査会に携わる関係者は事前の情報流出に神経をとがらせていた。別の組織委関係者が明かす。

「最終的な集計は発表当日の朝でした。『それまでは絶対に集計するな』と古宮正章副事務総長から厳命があったほどです。というのも、事前に集計し終わって情報が漏れるのを組織委は最も恐れていたんですよ」

 各学校から送られてきた投票用紙は専用の部屋に保管され、カギがかけられた。森会長にも知らせず、IOCに伝達したのも発表とほぼ同じタイミング。さらに、この日は発表が終わるまで、中川翔子をはじめ、マスコット審査会のメンバーもスマホを“没収”されるほど徹底されたという。

 なぜここまで厳戒態勢だったのか? それは2年前の公式エンブレムにまつわる“トラウマ”があるからだ。盗作疑惑が生じた当初のエンブレム撤回に伴い、新たな作品が16年4月にお披露目された時のこと。

「発表前の理事会で承認されたのですが、情報が通信社やテレビ局に漏れてしまった。そのため、発表セレモニーが寒々しいものになったのです。インパクトがなくなれば盛り上がりませんしね」(同関係者)

 マスコットの名前が決まるのは6月。発表は7~8月なので、組織委の緊張は当分続きそうだ。