藤井聡太六段(15)が23日、大阪市の関西将棋会館で行われた第66期王座戦2次予選で、畠山鎮七段(48)と対局した。終盤までどちらに転ぶか分からない展開となったが、持ち前の終盤力を発揮。96手で昇段後初勝利を飾り、通算成績を67勝11敗とした。

 藤井六段は17日に行われた将棋の朝日杯オープン戦の準決勝で羽生善治竜王を破り、決勝も制した。1日に五段になったばかりだったが、この勝利でわずか16日で昇段していた。

「(昇段後初対局は)意識することなく普段通りと思って臨みました。段位が変わっても、自分が目指すところは変わりないですし、段位で呼ばれるのも自然なことなので、違和感はないです」と語った。

 実は昇段で“地の利”を得ていた。愛知県出身の藤井六段は、大阪市の関西将棋会館をホームとしているが、六段昇段を果たしたことで、五段以下の棋士との対局では相手を大阪に呼ぶことができる。これまで大阪と東京の対局の割合は約7対3だったが、今後は大阪での対局が増える見通しだ。

 その大阪では来月11日から大相撲春場所(大阪府立体育会館)が行われる。藤井六段は小学校の卒業文集に「将棋界の横綱になりたい」と記し、大の相撲好きといわれる。昨年7月の名古屋場所を観戦し、取組そっちのけの大フィーバーとなったのは記憶に新しい。

 大阪が“拠点”となる藤井六段が春場所を訪れれば話題性は抜群だが、意外にも棋界関係者は「実はそれほどファンではなさそうなんです。テレビなどで白鵬関と握手しているシーンも報じられていましたが、たまたまチケットの取れた師匠(杉本昌隆七段)の誘いで見に行っただけにすぎないですね」と明かした。

 角界は元横綱日馬富士の傷害事件や、春日野部屋の傷害事件隠蔽疑惑、立行司のセクハラ行為など不祥事が目立っていることもあり、同関係者も渋い顔。「(藤井六段が)大阪場所を見に行くという話も聞きませんし、こちらからお願いすることもない」と、進んで関わりたくないといった様子。藤井六段が相撲界のイメージアップに一役買う可能性は低そうだ。