ユカイ&森重樹一が語るバンドブーム後の「ビジュアル系」「喝采」「カラオケ」

2018年03月01日 11時00分

森重(左)とユカイ

【ダイヤモンド・ユカイの昭和ロックを語る時が来た!】「レッド・ウォーリアーズ」のボーカル、ダイアモンド・ユカイ(55)が、ゲストを招いて昭和の終わりに巻き起こった日本のロックムーブメントをひもとく。ZIGGY・森重樹一(54)を招いての第7回は、ビジュアル系、「喝采」、そしてカラオケでの意外な点数までを語り合った。

 F記者:バンドブームの後、「ビジュアル系」と呼ばれるバンドが次々と登場し、これも一大ブームになりました。

 森重:俺、最初は「ビジュアル系」というくくり方がよく分からなかったよ。だってロックバンドは化粧してるもんじゃん。

 F記者:言われてみれば昔からお化粧してますね…。

 ユカイ:ビジュアル系の始まりはどこからかって話がよくあるけど、音楽的にはBOφWYがひとつの原点で、その流れがあると思う。見た目で言うと俺たちもメークをばっちり決めていたし、ZIGGYやBUCK―TICKも原点的なところはあるんじゃない。

 森重:俺たちは音楽的にはロックンロールで、意識としては洋楽が頭にあった。見た目は、例えば今日の俺の格好、ブライアン・ジョーンズ(ローリング・ストーンズの初代ギタリスト。1969年に27歳で死亡)じゃん! これが一番かっこいいのにさ、なんでみんなこっち来ないの?と思うよ。

 ユカイ:森重は変わらないからいいよね。マイケル・モンローも好きだよね。

 森重:そう! マイケル・モンロー大好き!

 F記者:マイケルは1980年にグラムロック系バンド「ハノイ・ロックス」を結成し、翌年デビュー。「ガンズ・アンド・ローゼズ」にも影響を与えました。マイケルのメークした中性的なルックスは日本でも注目を集めました。

 ユカイ:70年代のグラムロックから始まり、80年代のハードロックではアーティストが当たり前に化粧していた。日本でもそれが広まり、いくつものバンドを経由して、独自の進化をして生まれたのがビジュアル系という流れなんだろうね。

 F記者:お二人の曲の作り方は今と昔で変わりましたか?

 森重:ラブソングに関しては、ほれた腫れた、あの子大好きというのがあった時期と、結婚した後では、風合いが違ってきたね。曲を書くのは求愛行動の面があるから、結婚後は衝動感が薄れたと思う。

 ユカイ:求愛、失恋で言うと、俺は失恋が多かった。最初はこっちが強いんだけど、いつの間にか相手が優位に立って、最後は三くだり半。3年続いた試しがなかったよ。

 森重:ユカイくん、ブルースマンだからな。ろくでなしだから(笑い)。

 ユカイ:森重に言われたくないよ!(笑い)。でも、失恋はすごい曲を作るね。俺の場合は別れの曲が多い。ここ最近、子供を授かってからは変わったけどね。

 森重:やはりそういう部分あるよね。

 ユカイ:売れるのは求愛の曲なんだよ。ハッピーになれるから。気がついたんだけど、日本は90年代以降、悲しい曲が減ったんだよね。見せかけのハッピー感や居心地の良さ優先みたいな歌が増えて。

 森重:本当だ。みんなそんなに自分がハッピーだと誇示したいのかな。

 F記者:確かに、ちあきなおみの「喝采」のような曲は久しく生まれていません。

 森重:「喝采」はブルースだよ。

 ユカイ:かっこいい曲だよ。女の情念、物語があって。そういうのを歌から得る必要がなくなったのかもね。歌の役割が変わったのかもしれない。

 森重:俺はタイムクリック(演奏などのタイミングを合わせるために一定周期で刻まれるガイド音)について思うことがあってさ。全てが等間隔でしょ。デジタル時計って1からいきなり2になる。間がない。これがアナログ時計だと、針が1秒間に無数の“点”を刻みながら進むんだよ。ロックンロールは秒間の無数の点から正解を見いだすものだと思う。クリックを使って歌う時、俺は等間隔のどこに点を打つか意識してるよ。

 ユカイ:最近、カラオケで機械が点数つけるじゃない。でも機械が判断できないうまさが存在するんだよな。

 森重:本当だよ。俺、「GLORIA」歌ったら93点だったよ。バカ言っちゃいけない! 俺が書いたから、俺が歌うのが100点なんだよ!(笑い)。

 ユカイ:93ならいいじゃん。俺なんか自分の歌74点だよ!(笑い)。歌で本当に大切なことって、決まった点に当てることじゃないよ。ベーヤン(堀内孝雄、元アリス)がアリスの曲を歌って六十何点とかあったけど、感情で歌ってるからね。森重の言う通り無数の点があって、メロディーのゆれも存在する。機械はこころの感動を判断できないんだよ。

(次回最終回「森重、死なないでくれよ」)

☆もりしげ・じゅいち=1963年8月28日生まれ。東京都出身。84年にZIGGYを結成。88年にリリースした「GLORIA」が大ヒット。昨年、メジャーデビュー30周年を迎えた。今春、ツアー「TEENAGE LUST」を行う。

☆ダイアモンド・ユカイ=1962年3月12日生まれ。東京都出身。86年にレッド・ウォーリアーズでデビュー。89年に解散後、数度再結成。ソロとしてのカバーアルバム「Respect III」、著書「タネナシ。」「育爺。」が発売中。2015年に織田哲郎と結成したバンド「ROLL―B DINOSAUR」のセカンドアルバム「SUE」が発売中。