「バーチャルユーチューバー」顔の整形代1000万円 架空アイドルの台所事情

2018年02月23日 11時00分

富士葵

 昨年末デビューした3DCGの架空キャラクター「バーチャルユーチューバー(VY)」が、ネットを利用した事業資金調達(クラウドファンディング=CF)を実施したところ、約10日間で1000万円が集まり、注目されている。CFの名目は「衣装代」と「顔の整形代」。だが、CGキャラクターの衣装とはそんなにも高額なのか。摩訶不思議なお金のにおいを察知した本紙記者は早速、噂のVY「富士葵(ふじ・あおい)」の開発元を訪ねた。

 VYとは、ユーチューバーとして活動するさまざまな3DCGキャラクター。初のCFに挑戦したのは、黒髪女子高生VY・富士葵だ。昨年12月15日にデビューするや、清純派のイメージと歌唱力の高さで話題になった。

 だが、既存のVYと比較して「かわいくない」「ブス」などの声が上がっていた。つまり、「ブス」な女の子がかわいくなるための「整形代(モデルアップデート費用)」や「衣装追加費用」を募集しているのだ。

 CF開始は1月25日。2月5日には1000万円を集めることに成功した。そこで、富士葵を開発した「Smarprise」(東京・渋谷区)に話を聞いた。

 事業責任者・小沼将馬氏(27)によると、VYによるCFは世界初。あか抜けないキャラは話題作り?と邪推する声に広報・今井江美里氏(28)は「『かわいい子が生まれたね。この子と頑張っていこう』と社内で話していたのに、フタを開けてみたら『ブス』の声が…。複雑な気分です」と苦笑いする。

 2016年12月、世界初のVY「キズナアイ」の誕生以来、VYは一つのトレンドになった。目指すのは一時代を築いて現在も人気のボーカロイド「初音ミク」のような存在だ。トヨタのCMキャラクター起用をはじめ、ミクの活躍は周知の通り。VYは加えて生放送でユーザーと双方向の関わりができる。複数のVYは投げ銭機能付き生放送で、1時間数十万円を稼いでいる。

「初音ミクさんのように企業タイアップやCMなどにも挑戦したい。ユーチューブのライブ配信など、ファンとの交流もやっていきたい。そのためにも今回のCFを実施しました」(小沼氏)

 だが、CFには「顔をかわいくしたり、衣装を替えたりするのに1000万円もかかるのか」などの声も数多く届く。

 これに小沼氏は「キャラクターはモーションキャプチャーで人の動きをなぞって動いています。生放送に堪えうる動きを実現するレベルで衣装をシステムに組み込むのは大変。服装を替えただけで済む話ではないんです。他のVYの中には衣装替えで6000万円かけたという話も聞きます。富士葵はシステム会社やデザイナーと協力して生まれましたが、初期費用は400万~500万円。ランニングコストを含めると1000万円はかかっています」と語る。

 黒字回収するのはいつになるのか。小沼氏らは「現状では短期的に利益を出すより、ユーザーの皆様に喜んでいただけるための機能やイベントに費用を使い切りたいと考えています。ファンの方を増やし、多くの方に愛されるキャラクターにならなければ、収益や利益を検討するステージに乗らないと考えております」。

 さらにVYは上には上がいる。人気のバロメーター=動画のチャンネル登録数で比較すると、富士葵が約4・6万人。6000万円かけたと噂の「ミライアカリ」は約47万人。富士葵と1日違いでデビューした「輝夜月(かぐや・るな)」が約51万人。「キズナアイ」が断トツの約154万人(22日午前時点)だ。

 富士葵に出資したのは約800人。仮にトップのキズナアイがCFをやれば、単純計算で約2・7万人から約3億3500万円が集まることに!

 一獲千金の夢を求めて参入する企業は今後も増加するとみられる。スマホの高性能化によって、個人でもVYは作成可能になった。個人運営の代表格は「のじゃロリ狐娘」(約24万人)。コンビニ勤務の男性が1人で作り上げたケモノ娘のキャラクターで、声だけおじさんなのがウケている。

 VYが人気キャラクターになる日は近そうだ。