東芝が経営合理化を理由に約48年間続けてきた国民的アニメ「サザエさん」(日曜午後6時30分、フジテレビ系)の番組スポンサーを3月末で降板するのに伴う新スポンサーに、ベビー用品専門店の西松屋チェーンやインターネット通販大手アマゾンジャパン、大和ハウス工業が決まったことが30日、わかった。スポンサー候補としては美容外科「高須クリニック」がいち早く手を挙げていたが、落選。そのスポンサー料は――。

「サザエさん」のスポンサー入札では10社近くの参加企業から選定が行われたという。

 東芝が撤退を表明した昨年11月、「高須クリニック」の高須克弥院長(73)がいち早く手を挙げ、広告代理店とフジテレビに連絡したことをツイッターで表明していた。

 高須氏は1月30日、ツイッターで「いま広告代理店から報告。『サザエさん』のスポンサー入札に負けてしまった。一番に手をあげて『邪魔するな』ってお願いしたのに…奮闘努力のかいもなく大企業の皆さんに力負けした。悔しい なう」と“敗北宣言”した。

 ご立腹のようだったが、その後、フジ側のおわびを受けたようで、再びツイッターで「フジテレビの偉い方から丁寧なお詫びを頂いた。誠意はわかりました。かっちゃん(高須氏)はもう愚痴りません。仲良くやりましょう。なう」と怒りをおさめた。

 さらに「LINE(ライン)」の舛田淳取締役もツイッターで、入札に敗れたことを明かし「残念」とつぶやいた。

 東芝が48年にわたり「サザエさん」のスポンサーを務め、1998年まで1社提供を続けていたことで、番組冒頭やエンディングでサザエさんが語る「エネルギーとエレクトロニクスの東芝がお送りいたします(いたしました)」のセリフが耳に残っている。

 新スポンサーとなる西松屋チェーン、アマゾンジャパン、大和ハウス工業は、日曜日の夜に家族が揃って楽しめる人気番組で、3社はいずれも提供企業に加わることでイメージアップなどの宣伝効果を期待している。気になるスポンサー料はいかほどか。

「推定ですが、1社で月7000万円前後、年間約8億円といわれています。一般の視聴者は高いと思うでしょうが、大手企業にしてみれば、すべての世代の男女に訴えられることで、企業イメージを上げると思えばさほど高くないでしょう」と広告代理店関係者。

 さらに最近の視聴率低迷で落ち目のフジテレビにあって、このサザエさん枠だけは“ドル箱”ともいわれていた。

 別の代理店関係者は「視聴率も安定していたし、視聴者層もはっきりしていたので、フジでは他の時間枠が値段を落としていたのに、この時間枠だけは値段が下がらなかったといわれている」とも。

 東芝は、エアコンやカラーテレビといった家電の普及が進んだ高度経済成長期末期の69年に「サザエさん」の提供を始めた。事業の軸足がパソコンなどの情報通信分野に移り、98年に1社提供から撤退。2016年に白物家電事業を中国企業に売却したことなどから、スポンサーを続ける意味合いが薄れ、昨年11月に降板を発表していた。