元プロレスラーの大仁田厚氏(60)が18日、佐賀市内で会見を開き、本紙既報通り神埼市長選(4月8日告示、同15日投開票)への出馬を表明。朋友の原口一博衆院議員(58)を伴い、市政の透明化を訴えた。

「ひと言言っておきますが、普段は乱暴者じゃございません」

 会見直前に報道陣に向かってこう話した大仁田氏は黒髪に黒ジャケット姿で登場。リング上とは打って変わって、静かに闘志を燃やしていた。同市は大仁田氏の母、巾江さん(83)の故郷。長年親交のある地元代議士の原口氏と相談しながら、同市長選への挑戦を決めた。

 地元メディアから「プロレスは本当に引退なのか」と聞かれると「引退です。自分の人生の中で骨を埋める場所を探していた。神埼で頑張りたい」とリングに未練はない。すでに住民票は同市に移し、実際に住み始めてもいる。

 一番に掲げる公約は新市庁舎建設計画の見直しだ。大仁田氏は「35億円だった建設費用が50億円に膨らんでいる。このことが市民に伝わっていない。市民の税金がちゃんと使われているのか」とハコモノ行政への不信感を指摘し、行政の透明化を訴えた。ほかにも「神埼ブランドの宣伝マンになる」と自身の発信力を生かして、ふるさと納税や人口の増加につなげたい考えを明かした。

 選挙は激戦が予想される。すでに現職の松本茂幸同市長(67)が出馬を表明。松本氏は合併前の旧神埼町の町長もしており、次の選挙で4期目を目指す。同市長選は無投票だった前回を除けば、常に約200票差で勝負が決まる接戦だ。

 大仁田氏の選挙キャッチコピーは「かえんば神埼」。無所属で出馬し、原口氏が友人として応援に立つ予定だ。邪道の新たな挑戦が始まった。