タレントのデヴィ夫人(77)が代表を務める芸能事務所(東京都渋谷区)の運営費を着服し、業務上横領の罪に問われた元経理担当、辻村秀一郎被告(60)の初公判が11日、東京地裁で行われ、デヴィ夫人も傍聴した。

 起訴状によると、辻村被告は2015年に事務所の預金口座から自分の口座に払い戻し処理を行って計356万円を着服したほか、16年3月にも同じ手口で60万円を着服し、そのうち59万円は交際相手に振り込んでいた。「間違いございません」と起訴内容を認めた。

 だが、起訴事実は氷山の一角で、被害総額は辻村被告が経理をしていた5年半で2億7000万円に上るとみられる。同被告は、傍聴席の最前列で目を光らせるデヴィ夫人と視線が合うも、気まずそうにするでもなく、赤の他人のようなそぶりだった。

 閉廷後、自宅前で取材に応じたデヴィ夫人は「5年半で300回取っているんですから。1週間に2回の時や3回の時もあった。口座から引かれたのは1億7000万円ですが、それ以外に現金で渡して口座に入っていないものもある。納税の時期にいつも『お金がない』と言うので“おかしいな”とは思ったけれど“私がオークションで買い物しすぎたかしら”くらいに思っていたんですね」と苦々しい表情で振り返る。

 リポーターから「信用して経理を任せた人間に裏切られて人間不信にならないか」と聞かれると「ええ。でも政変時に比べたら別に。おほほほほほ」とインドネシアでの軍事クーデターを引き合いに“規格外”すぎる受け答え。これには報道陣もタジタジだった。

“消えた金”について「あったらいいなと思いますけれど…お金はいくらあっても邪魔になりませんから。(被害に遭っていなければ)衣装部屋にできるような小さなおうちが1軒買えたかな、とは思いますけど」とも語った。