かつてトレンディードラマで一世を風靡した女優・浅野ゆう子の結婚発表が驚きを呼んでいる。57歳での初婚は、晩婚化の時代とはいえ極めてまれなケース。55~59歳女性の初婚は同世代初婚者の1000人に1人以下という統計データもある。そうした背景もあってか、11日に所属事務所と本人ブログを通じて明かされた浅野の結婚に、ネット上では「勇気が出た」「希望が持てる」などと、うれしさをもって受け止める声も相次いだ。

 浅野はブログで、同世代の一般男性と昨年末に結婚したことを報告し、「お互いこの年齢で……とも思いましたが、この年齢だからこそ、互いの健康に気遣いつつ、寄り添いながら穏やかに、これからの人生を歩んでいこうと決めました」と続けた。

 このニュースに、ネット上には「もう57歳ということに驚き」と浅野の年齢に、月日の流れの早さを実感する声も少なからず寄せられた。

 平成が丸1年続くのは今年が最後。昭和末期から平成の初めにかけてのバブル経済の時代に人気を呼んだ、トレンディードラマを象徴する女優の一人が浅野だった。浅野温子(56)との「ダブル浅野」主演の「抱きしめたい!」(88年)、柳葉敏郎(57)らと共演の「ハートに火をつけて!」(89年)…。トレンディードラマの「元祖」とも呼ばれる存在だった。

 時代の先端を行った女優は2014年、交際していた俳優・田宮五郎(名優・田宮次郎の息子)がくも膜下出血で47歳にして死去する不幸に見舞われる。波乱もあった末にたどり着いた結婚というゴールに、「同世代として感慨深い」「幸せになって」とファンもネット上で共感を示し、さらには「熟年結婚ブームの呼び水に」との期待感も書き込まれた。

 驚きも与えた「57歳での初婚」。国立社会保障・人口問題研究所が昨年発表した人口統計データによると、50歳時点での未婚率を表す「生涯未婚率」は15年、男性が23・37%で女性は14・06%と、いずれも10年の前回調査を上回っている。

 年代別初婚数は妻(女性)の場合、総数43万2511人のうち、浅野が該当する55~59歳は372人。比率は0・000860093…と極めて低い。女性初婚者全体で1000人に1人もいない極めてまれなケースであることが分かる。

 同データによると、戦前の30年に595人いた55~59歳女性の初婚者は戦後、50年には82人に激減。まさに第1次ベビーブームの直後に当たる時代で、女性初婚者の半数以上が20~24歳だった。ところが直近の15年データでは、最も多い年代が25~29歳に移り(17万9042人)、それに次ぐのも30~34歳(10万1813人)と中心層が高齢化。55~59歳の女性初婚者も80年から300人台で推移しているが、前出のようにその割合は非常に低い。浅野の結婚は超レアケースと言える。

 ちなみに夫(男性)の場合、55~59歳の初婚は同じく15年のデータでは1185人。全初婚者41万8519人に対する割合は0・28%なので、1000人に3人弱ということになる。また、初婚時の平均年齢は男性31・1歳、女性29・4歳。

 世に驚きと中高年とみられる独身者に希望も与えた浅野の57歳初婚。もっとも、「浅野ゆう子だからできること」との冷静な反応もネット上では見られたが…。