漫才日本一を決める「M―1グランプリ2017」決勝戦が3日、東京・港区のテレビ朝日で行われ、初の決勝進出を果たしたお笑いコンビ「とろサーモン」(村田秀亮=38、久保田かずのぶ=38)が逆転優勝で13代目王者に輝いた。結成15年目、出場規定により最後のM―1挑戦で栄光をつかんだ同コンビ。ルール改正を勝利の風にして頂点に立ち、今後は旋風を巻き起こす。

 お笑いの女神を味方に付けたとろサーモンが実力伯仲の大激戦を制した。同コンビの業界での評価は高かったが、なかなかブレークには至らなかった。久保田は「M―1を憎んで生きてきた部分があった。でも、この優勝ですべて回収できて良かったです」と安堵の表情を見せた。

 今年から採用された改善ルールが大きく味方した。ネタ披露順を当日にその都度抽選で決めていく方式となったことは「トップバッターだけは避けたいと思っていて、3、4番目を狙っていた。(希望通りの)3番目になって、落ち着いて漫才ができた」(村田)と望み通りの展開だった。

 また、昨年から「関西勢に偏りすぎているのでは」と、お笑い界で物議を醸していた「審査員問題」も、松本人志(54)を始めとする昨年から続投の5人に加え、今年は関東から落語家・春風亭小朝(62)にタレント・渡辺正行(61)が加わり、解決。ファイナルではその小朝、渡辺が同コンビに投票した。仮定の話だが、昨年までの5人審査員制であれば「3対2」で和牛に軍配が上がっていた形。この日はすべてが2人に向いた。

 今回の優勝ですでに仕事のオファーも殺到。テレビだけでなく、村田には映画界からも熱視線が向けられている。

「村田さんは映画『凶悪』の白石和彌監督がいち早く発掘しました。『殺し屋の目をしている』とその存在感をすごく気に入って、作品にも起用しています。今後は『M―1王者』という金看板もあるので、役者としての仕事が間違いなく増える」(映画関係者)

 また、久保田の方はといえば、本紙は“サイン消され事件”という芸人としての屈辱エピソードをキャッチ。都内の、とある映画館で行われた映画「牝猫たち」での仕事でのことだった。その映画館の楽屋の白い壁には役者たちが記念にサインを書いている。

 同映画に出演した久保田も壁にサインを書いたそうだが「あまりにも大きく書きすぎたために、ほかの役者が書けなくなるということで、わざわざ消されてしまった」(出版関係者)という。そのころは売れていない芸人だったが、いまではM―1王者。「その映画館関係者も後悔するはず」(同出版関係者)
 気になる賞金1000万円の使い道は「地元の宮崎に銅像を建てたい。宮崎空港に(宮崎出身の)温水さんの銅像があって、それを挟むようにとろサーモン銅像を建てたい」と村田。これからとろサーモン旋風が起きそうだ。

★新道の予想的中!=お笑いコンビ「馬鹿よ貴方は」の新道竜巳(40)が本紙で行った「M―1優勝予想」を的中させた。新道は優勝コンビを「とろサーモンですね。ラストイヤーで優勝したらドラマ性もあるし、ネタの安定感もすごい」と評していた。