今年で6回目を迎える「ブラック企業大賞2017」のノミネート企業が27日に発表され、2013年に都政担当記者だった佐戸未和さん(31=当時)が過労死した事実を4年たってから公表したNHKなど9社(グループ)がノミネートされた。

 同賞実行委が厚労省記者クラブで行った会見の席に、NHK取材陣の姿はなし。昨年、新入社員の高橋まつりさん(24=当時)がパワハラ過労自殺した電通が大賞に選ばれた際、NHKは「ニュース7」でブラック企業大賞を大々的に取り上げて、過労自殺特集までしたのに、だ。

 この時、スポンサー企業に気を使わざるを得ない民放と違い、電通の影響下にないNHKだからこその報道姿勢だと話題になり「大手メディアで初めてブラック企業を取り上げた!」と賛辞も相次いだ。だが翻って、自局が「ブラック企業」にノミネートされた途端に切り込む姿勢もうせてしまったのか。

 NHKは確かに、このところ局内で“働き方改革”を進めているが、現場記者は「上っ面だけ」と冷ややかな反応だ。

「1か月先の予定なんて分かりっこないのに、労働時間管理の徹底のために1か月分の休暇希望日を出さなくてはいけなくなった。どうせその通りにはならない“スケジュールの提出”という仕事がまた一つ増えただけ」というのだ。本紙はNHK広報局にブラック企業大賞ノミネートを受けてのコメントと、会見に記者を出さなかった理由を尋ねたが、回答は「特にありません」の一文だけだった。

 その他のノミネート企業は以下の通り。

「ゼリア新薬工業」「いなげや」「パナソニック」「新潟市民病院」「アリさんマークの引越社」「大成建設・三信建設工業」「大和ハウス工業」「ヤマト運輸」。