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私が大手事務所を敬遠した理由


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【高橋惠子 芸能生活42年回顧録「女優物語」(28)】

 

 昭和56(1981)年8月、私の主演復帰作となる映画「ラブレター」が公開されました。詩人・金子光晴さん(故人)をモデルにしたこの映画は、ロマンポルノ史上最高の興行収入を記録したといいます。作品の内容そのものも高く評価されて、私はホッとひと息ついていました。

「ラブレター」が公開されて1か月がたったころのことでしょうか。演技派俳優として大活躍していた萩原健一さんから連絡がありました。萩原さんのお話の趣旨は「恵子ちゃんにその気があるのなら、ボクが今、所属している事務所に来ればいい」というものでした。このころ、私は所属事務所との契約が切れる時期だったので、新しい事務所を探していたのです。

 こうした事情を萩原さんは人づてに聞いていたのでしょう。その上で「ラブレター」の評判も確かめ、私を自分の所属事務所に誘ってくださったのだと思います。当時、萩原さんが所属されていた事務所は比較的小規模。大手の事務所を敬遠していた私の希望に沿うものでした。

 私が大手事務所を敬遠した理由は、大手というだけで何か束縛されるような感じが気になったことと、小規模な事務所の方が実験的な作品にも出演しやすいだろう、と考えたことにありました。ですから、萩原さんの助け舟は本当にありがたく、すぐに萩原さんに「お世話になります」とお伝えしたのです。

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