大島渚監督“最後のお願い”は酒

2013年01月18日 11時10分

 肺炎のため80歳で亡くなった大島渚監督の妻で女優の小山明子(77)が16日、18年ぶりの主演舞台「女のほむら」(20日まで、東京・池袋の東京芸術劇場)初日終演後、会見を開いた。小山は、大島監督が亡くなる直前までお酒を欲しがったことを明かしたが、監督は酒だけでなくファッションにもかなりこだわりを持っていた。

 小山によると大島監督は昨年末に肺炎を起こし、病状が悪化したという。「覚悟はできていた。私の中ではお別れはできていたので。死に目にも会えたし、私のために一番いい日を選んでくれた」。最愛の妻は淡々と話した。

「神様に最後のお願いをするなら、家に帰るか、おいしい物食べるか、お酒飲むか、どれにする?」。年明けに小山が尋ねたところ、大島監督の答えは「飲みたい」だった。医師に相談すると「口を湿らせるだけなら」と言われ、その通りにすると「ペロリとなめました」とのこと。

 大島監督といえば、「結婚30周年を祝うパーティー」(1990年)で作家・野坂昭如氏(82)のパンチを受けたのが有名だが、熱くなる2人を小山が冷静に止めたシーンも印象的だ。本人は「あいさつを頼んで忘れたんだから、あれは大島が悪かった。あのとき私は『子供のケンカじゃないんだから』と止めたんです」と振り返った。

 亡くなる直前も「飲みたい」と言った通り、大島監督の酒好きは昔から有名だった。「倒れる前は四六時中飲んでいた。特に映画祭などで海外に行くと、食事中は飲みっぱなし。それも晩ご飯だけでなく、朝ご飯からビールなどを飲んでいた」(映画関係者)

 量もハンパではなかったという。「おそらく1日でウイスキーのボトル1本くらいは飲んでいた。食事に行っても、食べ物よりお酒優先。昔はよく立食パーティーに出席する機会があったが、自ら『私はこういう場では絶対に何も食べない。飲むだけ。食べてると人と話せないし』とおっしゃっていた。そのあたりはこだわっていた」と同関係者。

 ファッションにも相当なこだわりが。大島監督は大のネクタイ好きで有名だったという。「テレビでは着物姿の印象が強いかもしれませんが、ご本人は『着物は家でも着てるし、これは普段着』と言っていました。東スポ映画大賞を受賞した時もそうですが、ビシッとキメる時はスーツにネクタイでしたね」(テレビ関係者)

 大島監督のポリシーは、「1着のスーツに合うネクタイは1本だけ」だったそうだ。「普通はスーツに合わせてネクタイを買いますが、ネクタイ好きの大島さんはネクタイにスーツを合わせる。気に入ったネクタイを買ってから、それに合うスーツを探すことも多かったそうです」と同関係者。

 酒を愛し、ファッションにもこだわった大島監督を長年支え続けた小山は、もう亡き夫を「素晴らしい人。何ごともパパが一番でした」と最後まで絶賛した。