名脇役・土屋嘉男さん2月に死去 黒澤監督との“特別な関係”秘話

2017年09月07日 16時30分

 俳優の土屋嘉男さんが今年2月8日に肺がんのため、89歳で亡くなっていたことが分かった。土屋さんは俳優座出身で、故黒澤明監督の名作「七人の侍」の若い農民「利吉」役で注目されて、「蜘蛛巣城」「用心棒」「椿三十郎」「赤ひげ」など9作品に出演。黒澤作品には欠かせない名脇役として、存在感を発揮した。

 黒澤監督と特に親しかったことで知られる土屋さんは、駆け出しのころに黒澤監督の家に居候していた。

「映画界では『天皇』と呼ばれた黒澤監督でしたが、土屋さんとはなぜだかウマが合ったようで、黒澤監督は趣味の釣りに土屋さんを連れて行くなど『監督と俳優』を超えた師弟関係だったそうです」(映画関係者)

 山梨県出身の土屋さんは山登りが趣味で、プライベートでは優しいおおらかな性格だった。

 前出の関係者は「映画界の権威として祭り上げられ、孤独になりがちだった黒澤監督の“良き話し相手”として、20歳ほど年下の土屋さんがぴったり合ったのでしょう。黒澤監督は土屋さんのことを『あいつは放っておくと、どこに行くか分からない』と評していたそう。はぐれ雲のような自由さを土屋さんに映していたのでは」(前同)。

 映画界の名脇役として名をはせた土屋さんは黒澤作品のほかにも「ガス人間第一号」「ゴジラ」シリーズなど、昭和の映画界を彩ったSF作品にも数多く出演。国産初の宇宙人映画「地球防衛軍」では謎の「ミステリアン」を演じるなど、俳優として挑戦者気質を持ち、黒澤さんに仕込まれた釣りに関しては、のちに関西エリアの釣り番組「ビッグ・フィッシング」(サンテレビ)の初代司会者に起用されるほど。多趣味で演技の幅も広い、一流の役者だった。

 葬儀は近親者のみで行われ、近くお別れの会が開かれる予定だという。