阪本順治監督 チェ・ゲバラTシャツの若者に「どこまで分かっているのか」

2017年08月23日 20時23分

阪本順治監督

 映画監督の阪本順治氏(59)が23日、東京・千代田区の日本記者クラブで、日本・キューバ合作映画「エルネスト」(10月6日公開)の試写会に出席した。

 今年、没後50年を迎えるキューバ革命の英雄チェ・ゲバラとともに戦った、日系人のフレディ前村ウルタードの生涯を、オダギリジョー(41)主演で描く。

 現地でのリサーチなど3年の準備期間を経て、脚本・監督を務めた阪本監督は「よく若者がゲバラのTシャツを着ているけど、どこまで分かっているのか。もはやファッションになっている。自分も会ったことはないが、ゲバラやカストロ議長役の俳優に『そうじゃない』と言いながら演出した。会ったことあるのかよ、と自分でもおかしかった」と振り返った。

 この3年でキューバを取り巻く環境は激変。「米国と国交を回復し、オバマ前大統領や安倍首相が訪れた。年配の人は『キューバにマクドナルドはいらない』と言っていたが、若者は『行ってみたい』という世代間の意識の差がある。現地のスタッフたちが不安を覚えるのを目の当たりにした」という。

 また、撮影にあたっては、映画で過去にキューバ人がゲバラを演じたことはなく、当時はカストロ議長も存命だったために人選に苦労した。現地スタッフからは「ソックリさんを選ぼうと思っちゃダメだ、俳優のアイデンティティーを尊重しなければいけない」とアドバイスされ、キャスティングに生かした。

 現地の撮影では「日本人は胃腸が弱く、5人が病院送りになったが、現地スタッフのラテン気質のユーモアに助けられた」とか。

 また「キューバは治安がいい。口げんかはあるが、格差がなくて等しく貧しいので、どんな職業でも年収はそれほど変わらない。だから、誰も他人から何かを奪おうと思わないと聞いた」と撮影で訪れたキューバの現状を語った。