歴代1位のデビュー29連勝を達成した史上最年少プロ棋士・藤井聡太四段(14)が6日、大阪・福島区の関西将棋会館で行われた名人戦順位戦C級2組で中田功七段(49)との対局に臨み、2日の連勝ストップ後、初の対局で30勝目を挙げた。新たな“伝説”の第一歩を記した藤井四段だが、ここにきてフィギュアスケートの元世界女王・浅田真央(26)に続く「愛知県県民栄誉賞」を授与される可能性が浮上。14歳にして大きな勲章を手に入れることになりそうだ。

 藤井四段は2日の竜王戦決勝トーナメント2回戦で、イケメン棋士の佐々木勇気五段(22)に敗れて連勝記録が29でストップ。敗戦後は「自分の読みの甘さを痛感させられたので、弱点をなくせるように頑張りたい」と話したが、この日も普段と変わらないスーツ姿で対局室に現れ、熱いお茶をすすって心を落ち着けてから初手を指した。

 対局は、中盤まで藤井四段がやや劣勢との声も聞かれたが、得意の終盤力で盛り返して逆転。見事に再起戦を勝利した。

 新たな“伝説”へスタートを切った藤井四段は、劣勢と評された場面を「経験の差が出てしまったかなと思います」と振り返ったが、全体的には「今まで通りにやれました」と平常心で対局に臨むことができたという。

 連勝が止まったとはいえ、この日の対局もテレビ各局で報じられ“藤井フィーバー”はとどまるところを知らない。相変わらず日本各地では将棋教室に通う子供たちが増えているばかりか、将棋に興味を持っていなかった大人までもが始めるようになった。

 また、将棋の駒の生産地として名高い山形・天童市の業者も「藤井四段さまさま。木製の商品は量産が大変で品切れのものも出ています」と、うれしい悲鳴を上げている。

 1990年代に羽生善治3冠(46)が7冠だったときも、同時期に将棋界も舞台になったNHKの連続テレビ小説「ふたりっ子」が放送されたこともあって、将棋の一大ブームが起こったが、今回は連勝記録を作った藤井四段が単独で一大ブームを巻き起こした。その影響力はすでに“レジェンド級”だ。

 そんな藤井四段に、さらなる栄誉が与えられる可能性が浮上している。愛知県の大村秀章知事(57)が「愛知県県民栄誉賞」の授与を本気で検討しているのだ。

「藤井四段が愛知の瀬戸市出身ということもあって、29連勝を達成してから内々に藤井四段へ県民栄誉賞を授与する話が進んでいます。大村知事の肝いりで、関係者らの調整を図って発表する計画のようです」(事情通)

 愛知県県民栄誉賞は今年創設されたばかりの賞で、受賞者はフィギュアスケートで世界選手権を3回制し(五輪はバンクーバーで銀メダル)今年4月に引退した浅田真央だけ。藤井四段の受賞が決まれば第2号になるが、14歳にして国民的ヒロインと“同格”の栄誉を与えられることになる。

 前出の事情通は「出身地の瀬戸市も何かしらの賞を授与したい意向のようですが、長い将棋界の歴史のなかで歴代1位の連勝記録を作ったのだから、藤井四段がもらう資格は十分にある。藤井四段が辞退しない限り、授与されることになるでしょう」という。

 愛知県のホームページによると「愛知県県民栄誉賞」の概要には「広く県民に敬愛され、県民に明るい夢と希望と活力を与えることに顕著な業績があり、愛知県の名を高めたもの」とある。

 29連勝記録に加え、14歳とは思えない落ち着きや言葉はすでに条件を満たしているのは明白。“愛知県民の宝”として吉報が届く日は近そうだ。