米メディアの報道によると、同国アリゾナ州の男性が、運転免許証の顔写真にパスタの水切り用ザルをかぶった姿で採用を求め、このほど認められた。

 運転免許証の顔写真に「信仰を理由」としてザルの着用の許可を申請したのは、同州チャンドラー居住のショーン・コーベットさん。同州内の複数の交付所から、応じてくれる1か所を見つけ、5月4日に認められた。米国ではほとんどの州で運転免許証の顔写真は、帽子などのかぶりものがないものと指定しているが、宗教上の理由があった場合は特例で認められる。

 コーベットさんは宗教団体「空飛ぶスパゲティ・モンスター教会」の信者と主張。2015年にも同教会のマサチューセッツ州の女性信者が同様に“ザル帽子”での免許証交付を受けている。

 同教会によると「世界は5000年前、空飛ぶスパゲティ・モンスターによって創生されたもの」。宗教的なかぶりものとして、パスタの水切り容器を身に着けるのが信者「パスタファリアン」の務めとしている。米国で05年、カンザス州教育委員会で、キリスト教右派が主張する非科学的な宗教要素が教育に導入されることを機につくられた。宗教であるとはいえ、風刺やパロディーが目的とみられる。

 パスタの麺でできた体に目玉が2つ飛び出たモンスターのイラストを「神の姿」とし、海賊姿のコスプレを推奨。祈りの際には「ラーメン」と唱えるといったユニーク過ぎる教義がある。日本にも「スパモン教」と呼ばれる支部がある。

 欧米の運転免許証やパスポートの写真では、イスラム教徒の女性が頭に着けるスカーフ「ヒジャブ」の着用は認められている。一方で「帽子はダメ。(ムスリムの)スカーフ着用が許可されているのは不平等だ」という批判もある。

 日本では1994年に浅草キッドの水道橋博士(54)がハゲカツラにメガネ姿などの顔写真で免許証を不正取得したとして、96年に書類送検されたのが有名。現在も「ムスリムのスカーフは許可されることが多い。カツラは厳密には不可だが、明らかな変装目的でなければセーフ」(運転免許試験場関係者)という。