20日公開の映画「TOKYOデシベル」で主役を務めた女優・安達祐実(35)が本紙のインタビューに応じた。安達は、ダブル主演となるロックバンド「SOPHIA」松岡充(45)の恋人役・フミを演じた。2人の間には関係のズレや“不協和音”が生じるが、安達は「私もそういう経験があるので、フミの気持ちが分かるような気がしました」と赤裸々に告白。インタビューには辻仁成監督(57)も同席し、安達の才能を絶賛した。

 ――ついに公開された

 安達:うれしいですね! やっと、という感じで。撮影は2015年の夏で、すごく暑かったんですけど、つらかったという感覚はなかったです。

 ――初めて台本を読んだ時は

 安達:難しい部分はあったんですけど、なんか「気持ちが分かるな」と。自分の中にあるものを投影して、できると思いました。

 ――恋人関係にズレが生じるという設定

 安達:物語の初めから、2人の関係に不協和音を感じている役。「じゃあ、どこまで戻ればいいの?」というのが整理できないというか、その方法も分からないところまでになっている。それって、なんとなく“経験”ある気もするし(苦笑)。共感しながらやれたという感じなんですかね。「相手のことが嫌い」ということではなくて「どこで私たちはズレてしまったんだろうなあ」という心境かな。

 ――過去の“経験”では、本紙もいろいろと報じさせていただきました

 安達:そうですね(苦笑)。

 ――添い寝のシーンは

 安達:たまに1人じゃないと寝られないという人もいますけど、私はそういうタイプでない。安心するぬくもりがあった方がいいなというタイプかな。もちろん、自分が安心できる人じゃないとだめですけどね。

 ――共演の松岡さんは

 安達:すごく楽しい方ですよね。かっこつけることも全然なくって。今回の映画は、普段の松岡さんとは全然違う姿が見られると思います。

 ――プライベートでは2児の母

 安達:全然大したことはしていない。自然に育てています。大変な時期もありましたし、それが永遠に続くんじゃないかと思ったりしたこともありましたけど、子供が大きくなるにつれてそれはなくなりますからね。

 ――子育てもしながら、美しさを保つのも大変

 安達:大事なことは“手抜き”です! 子育てもね。美容ケアですか? そこが一番手抜きしているのかもしれない。

 ――辻監督の安達さんの印象は

 辻:とにかく助けられた、という気持ちですね。経験豊富なだけあって、自分が何をすべきかを分かっている。この映画で一番難しかった「人間関係のズレ」を的確に表現してくれた。あとは「目力」ですね。自宅で編集作業をしていたんですが、横で僕の子供が「この人怖いね~。目の力がすごい」と言ってました。

 ――作家・辻仁成、監督・辻仁成として印象に残ったのは

 辻:安達さんは僕の書いた小説を超える芝居をしてきたんです。作家としては「文章が負けた」とつらいんですけど、監督としては「良い作品が出来上がるうれしさ」がある。すごくやきもきしました。

 安達:うれしい言葉ですね。

 ――女優として、今後のビジョンは

 安達:私の存在を面白がってもらいたいんです。いろんな監督が面白がって、起用してくれればいいなあって。どんな役をやりたいというのは特にありませんね。

 ――本紙はビートたけし審査委員長による東京スポーツ映画大賞を行っている

 安達:北野武監督の映画にも呼んでいただけるのであれば、ぜひ呼んでいただきたい。映画大賞もお願いします!

 辻:安達さんは北野監督にも気に入ってもらえると思いますよ。いまこの女優はノっています!

【辻監督「フランスでは“キタノ愛”が強い」】

 フランス在住で、作家活動を行う辻監督は、北野武監督のフランスでの評価について「とにかくすごい。たけしさんはフランス人に本当に愛されていますね。みんな、たけしさんのことを好き。欧州全体でそれを感じますが、特にフランスでは“キタノ愛”が強いのを感じます」と明かした。

 北野監督が評価されている点は「あの“間”じゃないでしょうかね。日本的な感情表現を映画にするのがすごく上手と思います」と指摘。さらに「特に初期の作品。『ソナチネ』であったりとか『キタノブルー』と評された作品で、しっかりとフランス人のコアな部分をつかんだと思います。文化人としてもものすごく評価されている。たけしさんがいただいた勲章もフランスではとても価値が高いものですからね」と話した。