福井市東郷二ケ町にある照恩寺で大型連休中、斬新すぎる「テクノ法要」が営まれた。浄土真宗本願寺派に属する同寺は1475年に建立され、1584年に現在の場所に移築された由緒ある寺。仏教の将来に危機感を持った17代住職の朝倉行宣(ぎょうせん)氏(49)が思いついたのがテクノ法要だった。

 法要が始まると、ご本尊の阿弥陀仏像が赤や青、黄、白などといった光の中に浮かびあがり、テクノ音楽が流れる。堂内は桃色や緑、黄色といった極彩色の照明で彩られ、花びらなどのCGが映し出され、読経がこれに重ね合わされる。朝倉住職は「若いころにDJ、ライブの照明の仕事をしていたこともありましたが、照明やCGなどはほとんど独学です。少しでも仏教に関心を持っていただくことが私の願いで、目標でもあります」と語る。

 テクノ法要で朝倉住職は阿弥陀仏像の前に座る。そこにはパソコンが置かれ、堂内に設置されているステージ照明やプロジェクターなどを動かす。音と映像はMIDIケーブルで照明制御ソフトと同期させ、テクノライブさながらの臨場感だ。

 読経は阿弥陀の慈悲を説く教典「仏説阿弥陀経」などが“素材”となり、朝倉住職がアレンジを加える。昨年、住職継承を受けたのを機に長年考案していた「お経とテクノを融合した法要」を行うことになった。

「『イエロー・マジック・オーケストラ』は子供のころに聞きました。ずっと後になって『Perfume』のパフォーマンスに感銘を受け、思いついたのがテクノ法要。現在の技術を使って『極楽浄土は光の世界』を表現しようと思いました。様々な方に仏さまの教えに触れていただきたかったのと、お寺が持っていたコミュニティーとしての機能を復活させたかったんです」(朝倉住職)

 始める前は門徒総代(お寺の法人役員)や実父も心配していたが、評判も上々なことから、今では応援しているという。