沖縄県石垣市の自宅に大麻を隠し持っていたとして大麻取締法違反(所持)の罪に問われた元女優・高樹沙耶被告(53=本名・益戸育江)の判決公判が27日、那覇地裁(潮海二郎裁判長)で開かれ、高樹被告に懲役1年執行猶予3年(求刑懲役1年)が言い渡された。

 高樹被告は共同生活していた大麻研究家の森山繁成被告(58)らと共謀し石垣市内の自宅で大麻約55グラムを所持した疑いで昨年10月25日に逮捕されたが「大麻は森山被告が管理していたもの」として一貫して起訴事実を否認していた。

 潮海裁判長は「所持していた大麻草の量も少なくなく、大麻を入手したのは森山被告だが、自宅への持ち込みや保管を許可し、果たした役割は少なくない。また使用も多数回あり大麻への親和性も認められる。だが同種の前科もなく謝罪していることから社会での更生の機会を与える」とした。

 37席の傍聴席をめぐって163人の傍聴希望者が県内外から詰め駆けた元女優の注目裁判。背筋を伸ばし、手を組んで判決を聞きいっていた高樹被告は有罪判決にも落胆した様子はなく、閉廷するとさっぱりした表情で深々と一礼した。

 判決後、地裁前で報道陣に対応した被告は「逮捕されて大麻女優などと言われて困難な道を歩んできた。逮捕ですべてを失うことになったが、決してふざけた気持ちで大麻草に向き合ってきたわけでなく、医療で困っている人たちのために訴えてきた。そこだけは信じてほしい」と声を詰まらせた。

 今後の大麻とのかかわりを問われると「もう私は一線を退かせていただく」としたが、どのようなスタンスになるかは明言しなかった。また、「現行法がある」として控訴しない意思も明らかにした。