昨年発売された紗倉まな(24)の小説デビュー作「最低。」は今秋の映画化が決定しており、「凹凸」も発売3日で重版が決定する好スタートを切った。今月1日、京都・大垣書店京都ヨドバシ店で行われたサイン会も大盛況だった。

「前日に満員になってしまい、当日にお問い合わせいただいたお客様にはお断りしたほど。男性はもちろんですが、特に若い女性ファンが多くて、中には紗倉さんに似た髪形をされていた方もいらっしゃいました。新刊はサイン会までに足りなくなるのでは、と心配になるほどの売れ行きでしたね」(山口沙耶香店長)

 同店では小説だけでなく、女性向けに発売されたスタイルブック「MANA」(サイゾー)の売り上げも好調とのこと。紗倉の魅力はAVファンにとどまることなく、広がっている。

「純文学は売れないジャンルとされている今、高校生のような若い読者に対して本で、純文学の言葉を届けられる数少ない存在だと思っています」

 こう語るのは紗倉を担当したKADOKAWAの「ダ・ヴィンチ」編集部の川戸崇央氏。担当編集者として紗倉の成長を目の当たりにした。

「『最低。』はこちらからテーマはアダルトビデオとお願いしたものですが、『凹凸』はご本人が書きたいテーマを書いた。その意味ではアダルト女優というハードルを越えて、やっと作家というステージに乗ったと思いますし、今後はいろんな出版社からオファーが来ることでしょう。私から見ても『ここまでやるか…』というくらい書くことに対する執着がある方で、それを言葉に置き換えて磨きこんでいくことがうまい。次に何を書くのかも楽しみだし、とにかく小説を書き続けていってほしいですね」

 例年、芥川賞候補に挙がるのは5大文芸誌(「文学界」「新潮」「群像」「すばる」「文藝」)で発表された作品がほとんどだが、ひょっとしたらひょっとするかもしれないクオリティー。あなたも色眼鏡なしに一読してみては!?