AKB48の1期生、小嶋陽菜が19日、東京・秋葉原のAKB48劇場で卒業公演を開催し、11年あまりのアイドル活動に幕を下ろした。

 この日は29歳の誕生日。公演中に行われた「生誕祭」では、峯岸みなみ(24)が秋元康総合プロデューサー(59)からの手紙を代読。「小嶋陽菜様 君は手がかからないメンバーでした…」。秋元氏の手紙だと気づいた小嶋は、あふれる涙を抑えることができなかった。
 
 秋元氏の手紙全文は以下の通り。

 僕が個性の強い初期メンバーに手を焼いてる時も君はやるべきことをきちんとやった上で、自分の時間をちゃんと作ってました。

 AKBがまだ売れていないころ、代官山の地下にあるレコーディングスタジオで、雑談していた時に突然、君に言われました。「私、意外に歌、うまいんですよ」。君らしい冗談っぽい感じで。手がかからないからって、ほったらかしにされている君のちょっとすねたような抗議でした。確かに君の歌は良かった。僕は忘れていました。すぐに前田敦子とダブルセンターで歌を作りました。「夕陽を見ているか?」

 きっと今までに何度も卒業しようと思ったことでしょう。初期のメンバーが次々に卒業してからは、なおさらだったと思います。何年か前に「話がある」というので、麻布十番のイタリアンレストランで食事をしたことがありました。あの時は君は真剣に卒業のタイミングを相談したかったのに、結局は冗談で終わってしまった。まるで結婚したい人がいるという報告を聞きたくない父親のように、君の卒業はいつもはぐらかしてきたような気がします。

 それでも君はAKB48の将来を考え、後輩たちのことを考え、無理に言い出すことはありませんでした。だから、僕も君に甘え、君が30歳を超えてもAKBにいてくれたらいいなと思っていました。そんな君が卒業するにあたり、ようやく僕は君に言えそうです。「陽菜、もう少しAKBにいたら?」。いや、うそです。もう陽菜に甘えられません。フニャフニャしてて、やる気がないように見えて、手を抜いてるように見えて、でも本当は誰よりも真面目で、責任感があって、AKBを愛し続けた君に感謝します。ありがとう。卒業おめでとう。

 聞き終えた小嶋は「2年前に卒業したら、こんな手紙をもらってなかったと思う。ここまで長くやってきてよかったと思える一番の出来事かもしれない」と感謝。続けて「秋元さんにもし(『辞めないでほしい』と)言われていたら、卒業しなかったかもしれない。言わずにここまで自由にさせてくださった秋元さんの優しさ。これから一人の小嶋陽菜として頑張っていこうと思います」と涙ながらに決意した。

 最後に小嶋はメンバーとファンが見守る中であいさつ。「2005年12月にAKBに入って、歌い続けてきました。これから後輩たちが心配だし、大変なこと、困難なことがあると思います。でも、AKB48にはこの劇場がある。みんな乗り越えていけると思います。私は近くで見守っていきたいと思います。みんな、ゆいちゃん(横山由依)のことを支えてあげてください。11年は本当にずっと楽しかったです。本当にありがとうございました」と頭を下げ、アイドル人生を終えた。