往年の人気アイドル桜田淳子(58)が7日、東京・銀座の博品館劇場で「スクリーン・ミュージックの宴」にゲスト出演した。自身のデビュー40周年を記念した一夜限りの復帰ライブから3年4か月ぶりのステージでは計5曲を熱唱し、往年のファンらを歓喜させた。一方、統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の広告塔を務める桜田の“復帰”を問題視する全国霊感商法対策弁護士連絡会からは「25年前より一層深刻」との批判が上がった。

 桜田はアイドル時代から定評のある豊満なバストを強調した白と黒のツートンカラーのワンピースに大きなリボンのついた帽子というアイドルルックでステージに登場した。

 会場は「淳子~! お帰り~!」という野太い歓声と、割れんばかりの拍手に包まれた。

 自身の主演ミュージカル「アニーよ銃をとれ」(1980、83年)の劇中歌「ショウほど素敵な商売はない」や、81年にシングルリリースした中島みゆきのカバー曲「化粧」など5曲を熱唱。伴奏したピアニスターHIROSHI(55)が前奏にアドリブで「わたしの青い鳥」のメロディーを弾くと、桜田は手で「クッククック」と振り付けで大サービスもやってのけた。

 MCでは「チケットが数分で売り切れたと聞きました。おそらく皆さん、桜田淳子はどれくらい年をとったんだろうということで集まっていただいたと思いますが」と笑わせ、当時のアイドル界で断トツといわれたトーク力も健在だ。

 来場したファンは「昔は中3トリオの中では森昌子が実力派だったけど、今は淳子の方がうまいし声量もある。腰のあたりはぜい肉が付いているけどスタイルも相変わらずいいよなぁ」とうっとり。2013年5月にサンミュージックの相澤秀禎会長(享年83)の通夜で久々に姿を見せた時に話題になった二重アゴもスッキリ。完璧に「芸能人」に戻っていた。

 桜田はアイドル歌手から女優に転身後の92年に合同結婚式への参加を突如表明。以来、統一教会の“広告塔”として活動し、芸能界を実質的に引退した。「合同結婚式の話を聞いた時は『俺にもチャンスがあったのか』と思った。それで入信した人もいただろうね」というファンもいれば「嫌になってファンをやめていった人も多かった」(別の来場したファン)と、桜田の入信は大きな衝撃を与えた。

 終演後、ファンや報道陣が待ち構える中、会場から出てきた桜田は記者の「芸能界復帰ですか?」などの呼びかけには一切答えず、手を合わせて「ありがとうございます」「すみません」と頭を下げて車に乗り込んだ。

 同公演を演出した増田久雄氏は「クリエーターとして桜田淳子の声を聞きたいと思ってダメもとでオファーしただけ。統一教会の“ト”の字も頭にないから僕から聞くこともないし、彼女も言わない。世間が騒ぎすぎじゃないのかな」と語る。

 桜田の復帰については「僕としては今日がきっかけで復活につながったらいいなと思うけど、本人は復帰を全然考えていないと思う。最後に歌った『化粧』は予定になかった“サプライズ”。主婦として普通の女の人の生活を送ってきた感じが歌に出ていたから、もう1回(復帰すれば)昔とひと味違う桜田淳子を見せられるのでは」と増田氏は期待を込める。

 だが、もちろん歓迎ムードばかりではない。統一教会の霊感商法と闘う全国霊感商法対策弁護士連絡会の紀藤正樹弁護士はこの日の桜田の言動をこう問題視した。

「信者であることを語った25年前は『統一教会を正しい』と自信を持って褒め上げるコメントを自ら出したのに、今回は記者会見を開かず、報道陣の質問にも一切答えないのは統一教会の問題性を認識しているからにほかならない。25年前より一層深刻です。今後、復帰に向けた動きがあれば、統一教会や主催者に質問状を送るなど、より踏み込み、反対表明を続けていきます」

 ファンやスタッフは大満足し、本格復帰を望んでいるが、すんなりとはいきそうもない。