落語家・林家たい平(52)が1日、都内で行われた、旅チャンネル「東北観光応援特集『がんばろう!日本』」(スカパー!など 毎週土、日午前6時)の応援団長就任記者会見に出席した。

 同番組は日本で唯一の旅専門チャンネル「旅チャンネル」が、東日本大震災の被災地域の復旧や復興につながるように、東北各地を紹介する旅番組を特別編成したものだ。たい平は東北復興支援活動を継続して行っており、このほど旅チャンネル「がんばろう!日本」2017応援団長に任命された。

 大学4年生の時、宮城・石巻で落語家になることを決めたという。「石巻の老人ホームで、へたくそな大学生の落語を聞いてもらって喜んでもらった。そして日和山に登り『落語家になろう。日本一の落語家になろう』と決めた」

 震災直後から東北に入り、今でも東北に通い支援活動を続けている。たい平は「人の力はすごいもので、がれきでいっぱいだった門脇という地区は、がれきはなくなった。そこに人が暮らしていたのかもわからなくなりそうだが、門脇の震災前の暮らしなどが3Dプリンターで再現されて展示されている施設もあります。それを見ると、ここで人の暮らしがあったことを忘れずにいられます」と震災の風化を憂えた。

 石巻で暮らす人々の“笑い”も変化した。

「最初は行くだけでした。握手をするだけとか、それで元気を出してもらう。そういうのが半年でした。その後、無料の落語会を開かせていただいた。最初は笑うというより、不安から人のいる場所に集まるだけだったと思います。本当に笑っていいのかという気持ちもあったと思います。ですが、5年経過し、本当に笑えるようになってきていることが変化ですね。他人に遠慮せずに、体全体を使って笑えるようになった。会場に笑いの“うねり”のようなものを感じるようになりました」

 地元ではたい平への感謝の意味を込めて、日和山で落語家になることを誓った桜の木を「たい平桜」と名付けた。「大きな桜に名前を付けてもらった。申し訳ないですね」とたい平は頭をかいた。