ビジュアル系の人気ロックバンド「DIR EN GREY(ディルアングレイ)」のリーダー・薫(年齢非公表)が、先日「ローリング・ストーン」誌日本版のシニアライターで人気ラジオDJジョー横溝氏(48)と都内でトークライブ「東京虎ノ穴」を行った。年明けには、“因縁のライバル”であるバンド「PIERROT(ピエロ)」とのプロジェクト「ANDROGYNOS(アンドロジナス)」がビッグニュースとなり音楽界を騒がせたが、本紙のインタビューに応じた薫はその思いを明かした。


 ――このような形でトークライブをやるアーティストは珍しい

 薫:自分の好きなアーティストとかのインタビューを読んだりラジオを聴いたりすると、その人が作っている音楽がより理解できる気が、昔からしていた。言葉で伝えることは怖いことでもあるけど、いまがトークライブをやってみるタイミングでもあるかなと思って挑戦してみました。

 ――ただアーティストとしてのイメージが壊れるという可能性も

 薫:若いころにトークライブをやっていたら、良くなかったかもしれないし、俺自身も「ジャマくさい」と思っていた。突き放した感じも必要な時期やったと思います。ただもう20年もバンドをやっていて、そこに対しての信頼というか自信というか、そういうのはあるんでね。普段、何を考えているかを知ってもらうことで、よりバンドを深く知ってもらって、ライブを見てもらえば、つながりも深くなる。ライブでは自分たちらしくステージに立つことがオリジナリティーだし、今回の試みがいろんなふうに作用して広がっていけば面白いですね。

 ――「虎ノ穴」というタイトルの意味は

 薫:高校生の時、メタル音楽がめっちゃ好きで、同級生に「このバンドいいぞ!」と強引にCDアルバムを貸したりして、俺が中心になって広めていたんです。そしたら、いつの間にか「アイツに捕まったらメタル好きにされる。アイツはヘビメタ虎ノ穴や!」と(笑い)。そこからタイトルを付けました。その時の同級生には「まさかお前が、こんなになるとは思ってなかった」と言われます。

 ――年始には「PIERROT」とのプロジェクト「ANDROGYNOS」がニュースとなり、7月に横浜アリーナでのライブも発表された

 薫:詳細は発表されていることがすべてなんで、言うことはないんですけど…。まあ「全力でぶっ倒す」つもりです。こっちはずっとバンドを続けているという強みがあるので、まず負けへんやろうなというのはありますけど、むこう(PIERROTは2006年に解散し、今回が活動再開となる)はずっと待っていたファンの「パワー」がものすごいものがありますからね。

 ――かつてはライバルと目された

 薫:ほとんど交わることはなかったんですけど、同じようなライブ会場を回っていたので、気になる存在ではいた。まったくお互い違うバンドなので、この夏どうなるか楽しみです。

 ――昔は、明治神宮前の「神宮橋」でお互いのファンが集まって一触即発の事態になることもあったそうだが

 薫:あったみたいですね。当時は知らなかった。まあ、これからもいい意味でファンの期待を裏切っていきたい。「曲はいいけどライブは面白くない」とか言われないように。「このバンドから目が離せない」と言われ続けるようにやっていきたいですね。