STAP細胞論文で物議を醸した理化学研究所の元研究員、小保方晴子氏(33)がNHKにリベンジした。

 放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会は10日、STAP細胞論文を検証した「NHKスペシャル」で、小保方氏の名誉を毀損する人権侵害があったと認め、NHKに対し、再発防止に努めるよう勧告した。委員会の人権侵害による勧告は、最も重い判断とされる。

 委員会は2014年7月に放送された同番組で、STAP研究に関する事実関係については「判断できない」とした上で、具体的な根拠がないままに、小保方氏が何らかの不正行為によってSTAP細胞を作製したと視聴者に受け取られる内容になっていると認定。NHKの看板番組であるNスペの影響力は大きく、小保方氏が受けた名誉毀損による被害は小さいものではないと結論付けた。

 また取材班が執拗に小保方氏を追跡したのも「放送倫理上の問題がある」と指摘。その上で委員会は「(小保方氏が)若き女性研究者として注目され、不正疑惑浮上後も世間の注目を集めていたという点に引きずられ、科学的な真実の追求にとどまらず、不正の犯人として追及する姿勢があったのではないか」と疑問を投げ掛けている。

 NHKは委員会の勧告を「真摯に受け止める」としながら「客観的な事実を積み上げて制作したもので、人権を侵害したものではない」と異例ともいえる反論に出たが、もはや後の祭り。

 小保方氏は弁護士を通じ、コメントを発表。「名誉毀損の人権侵害や放送倫理上の問題点などを正当に認定していただいたことをBPOに感謝しております(中略)本NHKスペシャルの放送が私の人生に及ぼした影響は一生消えるものではありません」と完勝宣言だった。

 弁護士によると、小保方氏は現在も療養中だが、先月から「婦人公論」で近況を記した連載をスタートさせている。NHKと法廷闘争することはないという。